以前から口を酸っぱくして言い続けているが、ジェフ・ベックはライブで本領を発揮する。スタジオでは煮詰めすぎてスリルに欠けるのだ。たまに外すこともあるが、それでもスタジオのアルバムで聞ける演奏よりははるかにいい。
73年の大阪厚生年金会館収録の本バージョンは、ヤードバーズの原曲に比べると、かなりテンポが速められ、かつハードになっている。
高校時代、コピーにチャレンジしたものの途中で挫折した。当時、ジェフ・ベックは基本的にピックで弾くものと思い込んでいたので、途中のリックがどうしても分からなかったのだ。80年代以降ベックはピックを使うことが少なくなり、そして今では全くピックを使うことがなくなった。
10年ほど前だったか、指で弾いているという前提で改めてコピーし直してみた。そうすると高校時代には分からなかった部分も解決した。
それでもエンディング近くのカントリー調になるところは謎だった。いわゆる「3フィンガー」(ラグタイムやカントリーなどで用いられる、親指、人差し指、中指の3本を使う奏法)で弾いていると目星をつけたのだが、音は聞き取れても3フィンガーではうまく弾きこなせない。ここでまたしても壁にぶち当たってしまった。しかし、あれこれ試してついに謎が解けた。
2フィンガー(親指と人差し指のみを使う奏法)である。ベックが普段単音のメロディを弾く時は、親指のみまたは親指と人差し指2本を使うから、それに間違いない。ポール・マッカートニーも「ブラックバード」でやっているあの2フィンガーである(3フィンガー、2フィンガーは和製英語だと思う)。
おそらく、この曲は全編指弾きだろう。さもなくば曲が始まってすぐに、ピックは落としたか投げ捨てたに違いない。

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