今回のバルセロナ滞在中、最も通ったのはルシアーノ宅の近所の大衆バーである。界隈を散歩中、何度かその前を通りかかったが、入ったのは相棒の秦野氏が連れて行ってくれたからである。
そこはお洒落とは程遠い、ただのオヤジの溜り場の大衆酒場である。大阪で言うなら西成か布施か京橋の酒場、東京なら浅草か沼袋か、それとも有楽町のガード下である。
何故居心地が良いのだろうか?自分がオヤジになった(父親ではない)からか?それも確かにある。酢漬けの魚をあてに、あれこれ考えてみた。バーとは何ぞや?
1.お洒落なバー:恋人と、または意中の相手を口説こうと下心を持って行く場所。
2.伝統的日本のバー:魅力的なママまたはホステスがいて、寂しいサラリーマン達が何とか口説こうと、もしくは寂しさを癒しに集まる場所。座るだけで数千円から数万円のチャージがつく。
3.大衆バー:仕事帰りにうちに帰る前に一人でちょいと一杯やる所。一人寂しく新聞を読もうが、ダサい格好であろうが、加齢臭を放とうが、誰も文句は言わない。余計な詮索もしない。みんな勝手にやってきて、静かに帰っていく。
前述の酒場は典型的な3に分類される。何が心地良いかと言うと、人の迷惑にならなければ(うっ、加齢臭は迷惑か!でも自分はまだだと信じている…)外人であれ、テレビを見ようが、本を読もうが、黙々と飲んでいようが誰も何も言わない。スペイン語がロクに喋れない我々だが、店長にはぼったくろうなんていう気持ちは毛頭ない。時々勘定を間違えて、多く取ったり少なかったりはするが…。
おっと、そういえば自分は昔から洒落たバーやスナックやクラブには行けないタチだった。なんせ80年代皆ワム・カット時代ににして流行遅れの長髪、バイト先の上司に高級クラブに連れて行かれた日にゃ、退屈極まり眠り呆けてしまい、ママに「アラーあんた、とっても岸部シローそっくりね!」とイヤミを言われる始末。


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