最近、静寂を満喫できる場所が激減している。だから、たまにBGMが流れていないカフェを見つけると、すごく得した気分を味わえる。
ちょっと商店街を歩けば、商店街の全体のBGMに加えて、各店舗毎のBGMが流れているのは当たり前。ショッピングモールに至ってはもっとひどい。ひとつの店舗内でも、売り場ごとに違うBGMを爆音で流している。まるで拷問である。幸いにも、自分には絶対音感がないからまだマシかも知れない。
これも、最近の音楽業界が低迷している一因なのだと確信している。
昔は音楽を聴くためにはかなりの出費をし、能動的に聴くことが多かった。一般的な物価の上昇にもかかわらず、レコードの値段は30年前も今もほぼ同じである(さらにCDは収録時間はLPの倍近くある)。だから、当時はレコードを買うというのは、ちょっとした贅沢だったのだ。
しかし今や音楽は、好き嫌いに関わらず、タダでも手に入るものなのだ。
先日、久々に民放TVを見てみた。所謂バラエティ番組だが、全ての場面にイチイチ異なったBGM(それも歌詞付)が流れる。うるさい事この上なし・・・である。
パーティー、イベント、セレモニー等、あらゆる状況で拷問的音楽が氾濫している。
かくなる上は、JASRACはBGMとしての使用に限り、楽曲使用料をアップしたら売り上げも飛躍的に上がるだろう。最近何かと評判も悪いが、株も上がるというものだ。
ところで20年以上も前の話だが、爆音でBGMを流す飲食店で働いていた友人によると、
1.とにかく大きな音でBGM(ここまで大きくてBGMと言えるのか?)を流す
2.客はそれに負けぬよう大声で話す
3.さらにBGMを大きくする
4. 客は更に大声で話す
5.結果、通りがかった人は流行っている店だと思い込む・・・
という戦略だということだった。
なるほど、ショッピングモールでの爆音は客寄せの戦略なのか。とすると、近い将来鼓膜を破るほどの店も登場するだろう。そうして初めて規制ができるのだろう。

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