当日参加870人は凄いの一言。内容はともかく、体育館を会場にしてこれだけの受入れ体制を作った地元、弓削川柳社と、町の総力を挙げての歓迎ぶりは全国的にも高く評価されるだろう。会場の外にはうどん・そば、特産品のテント村があり、どこも人、人、人。
事前投句ジュニアの部、一般の部、それぞれに課題別の入選発表があり、表彰式があり、その時間は会場もざわざわと落ち着かなかったが、当日の部ではさすがに870人の目と耳が演壇に集中する。入選の度に小さな拍手があちこちのグループから上がり、それを上回る声にならない溜息。
確かに主催者は大成功だと満足し、全国もそれに近い評価をするだろう。しかし、イベントとしての成功と、文芸活動としての評価は別物と思わざるを得ない。特に選者の顔触れは1名を省いて県外の、日川協のメンバーらしいが知らない人ばかりで、ひどい選をする。いや、自分の信じる当然の選をしているのかも知れないが、あまりにも川柳を知らなさ過ぎる。
特に気になったのは、うわつらを撫でる家族の情愛や社会の教訓的把握、入選句の8割、上位作品はすべてが、教条的人生観を詠んだものばかり。批評性のない詠嘆、なれ合いの善意のままごと的川柳が支配する。・・・これはかなり怖い。
今日参加した870名が、次の入選を期して、今日の入選句を参考にする。そのネズミ算的な膨張係数を考えれば、川柳はやがて日和見主義の教育的、倫理的人生観を振りかざし、川柳の川柳性は闇の彼方に葬り去られていくだろう。

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