怖いなと思っていても明日が来るようにやがては死も来るだろう
カタカナで書かれたような体型の若き女が叫ぶ公園
おとなりの坂本さんが寄ってくる河豚の尾びれのような感じで
だいじょうぶ三井住友銀行はきっとあなたを助けはしない
深夜降る雨よいかりや長介のペースのように世界をつつめ
のどごしのいいものばかり口にしてあんまり脳を使わずにいる
歌人・松木秀 北海道在
最初は川柳から始まり短歌へ移行したようだ。なぜ川柳から短歌へ移行したのか、そのプロセスは解らないが、どの作品も川柳の影を曳きながら、後の77によってより自由を手に入れたのびやかな日常性。それは二度と川柳には戻れない自由な領土としての彼の表現形式であり、短歌形式の川柳、あるいは川柳の短歌化でもある。
看板のところだけ刈る雑草の共産党のうつくしからず
環境破壊をきびしく指摘しながら、道路沿いの山裾に、必ずといってもいいほど立てられた共産党の看板が、じつは環境破壊の第一歩と気づいていない共産党のあわれ。しかも看板の四方だけきれいに草が刈られているエセ環境主義を「共産党のうつくしからず」と言ってのける。

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