BSおかやま句会
イメージ吟
◎結婚ができる十三歳になりました 山口流木
◎仮面はずして水平線になってゆく 前田一石
○たまごから孵ったところまだ眠い 草地豊子
○廃品の中に見つけたわたしの仮面 斉藤幸男
○そっと聞いてと仮面にささやかれ きりのきりこ
突然にすべての水が引いた海
絵の全景を海に見立てたのは手柄。だが「突然にすべて」とまで言い切ってしまうと余剰を失う。
百枚の仮面を婚活の姉に
「婚活」ははやり言葉らしいが、この語をもって時代を捉えているとは言い難い。
わたくしの角度取り戻せないままに
作者によるとスカートをはいて、自分でおなじポーズをとってみたが、どうにも不自然ということから作った句らしい。
外したりつけたり少女深い闇
その「深い闇」をどう書くか。はやり言葉で結語した分大味な句になってしまった。
探してた帽子ちゃっかり膝の上
「ちゃっかり」はせっかくの句を安易にしてしまう。せめて「探してた帽子戻ってくる夜明け」ぐらいにしてほしい。
やがてやがて少女の夢は子を産もう
「やがてやがて」はもったいない。「夢」は暗示の中に閉じ込めてほしい。
脅しですかセラピーですか靴を履く
この句に意味をたどれば「靴を脱ぐ」にならないか。
イメージ吟は対象からの想像力による飛躍も佳句を呼び込む要素ではあるが、飛躍を奨励するつもりはない。飛躍しているつもりが、しっかりと意味の紐で足首をくくられているようなもどかしい句が多かった。もっと対象に目を凝らして、説明ではなく発見を志してほしいものだ。

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