東京の行事が終わり、この二日間、おにぎり、弁当、サンドイッチと粗食に耐えてきた私の胃袋が、「少しはマシなもの食わせろっ」と喚いている。昨夜の宴会で何を食べたか、私も私の胃袋も酔っ払って覚えていない。
新幹線の時間まで1時間少々しかないが、東京の役員とその奥さまに、駅に近い新丸ノ内ビル7階の新しいレストラン街に案内してもらった。7階ワンフロアのすべてがオープンスペースで、無国籍料理の店、ダイニング形式の店、ワインバー、男子禁制のバーもあれば、老舗を誇る蕎麦屋も和食の店もあった。フロア全体の洒落たデザインと高級感も、どちらかというと高そうな感じだが、たまにはこんな雰囲気も悪くない。通路のそこここにさりげなく椅子とテーブルが置かれていて、ここでどの店にもオーダーできるというのもめずらしい。
田舎者にはめずらしいスペースにきょろきょろしながら、「ander」というイタリアン料理の店に入った。案内してくださった奥さまが、まず1時間少々しか時間がないことを告げて、私の好みを確かめながら赤ワインとお勧め料理を紹介してくれ、そのなかから鰺のマリネ、海胆とフレッシュトマトのパスタ、鶉料理などをオーダーした。マリネは勧められた薄焼きパンにはさんで食べたが、このピアディーナというパンも美味だった。鰺にしろ、海胆にしろ、鶉にしろ、素材がおいしいのと、シンプルな調理法が気に入った。
おいしかった。味も雰囲気も、時間を気にしながらの会話も、何か異空間を漂うような幸福感をありがとうございました。・・そして帰りの新幹線ではぐっすりと眠った。

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