別に、全英オープンで最後まで優勝を争った59歳のトム・ワトソンに触発されたわけではないが、15年封印していたゴルフクラブをもう一度握ってみる気になった。
これまでのベストスコアは88。しかしこれはたった一回の神様の気まぐれで出たスコアで、平均ストロークは100前後、なかなか100が切れないという典型的なヘボゴルフ。もちろん運動神経のなさがその要因だが、もともと当時はゴルフをスポーツと捉えていなかった。週に一回のガス抜き。朝からビールをかぶ飲みして、キャデイさんをからかいながらの開放感か、取引先の接待でであったり接待されたり。そのうえ商売人仲間のゴルフは派手で、「ニギリ」と称するやたらと高いレートの賭けを楽しむ。
沖縄や北海道へのゴルフ旅行。いいコースがあると聞けば、虚栄心を満たすため全国どこへでも出かけた。内心ではバカバカしいと思いながら、まるで自分を鼓舞するように「行こうぜ〜」と奇声をあげる虚しさ。そのむなしさに気づきながらいまさらセーブすることはできない。
折からの不況の嵐は、もっとも端的にゴルフに影響してくる。週一回のゴルフは月一回になり、遠出はしなくなる。コンペの参加人数は激減する。会社の経費で落としていたものが落とせなくなる。厳しい現実と向きあい、従業員への気兼ねからゴルフをやめることにした。何か解放されたような気分になった。
国保組合でゴルフコンペが計画され、立場上、委員長杯のカップを提供することになり、15年ぶりに握ったクラブの手触りはなつかしい。だが、空振りの連続。これではとても復活できない。・・・あきらめた。
「せっかくのコンペだが私の復活はムリや」・・「ええで、委員長はカップを提供してくれればいい。まあゴルフはやらなくても挨拶はしてほしい・・きてや・・」・・なんやそれ・・。

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