句集『水摩』平賀胤壽著。
著者略歴・1947年7月17日京都市生まれ。滋賀県湖南市在住。「びわこ番傘川柳会」監事。朝日新聞「滋賀柳壇」選者。句集『生きるとはにくやの骨のうずたかし』(作家・木下正実のエッセイとの編著・1995年こうち書房刊)。
根付作家としても有名。「国際根付彫刻会」会員。(京都 清宗根付館・高円宮コレクション・東京芸大収蔵)
空をもう離してしまいそうな熟柿
断崖はないかと棺の底覗く
猫ですか球面体の柩です
ろくがつや苔に沈める譜面台
日常だ非日常だとおおげさに騒ぐことではなく、誰でもが見える日常でもなく、作者にしか見えないさまざまな日常というものが確かにある。言葉によって再生される日常的風景が、ふと不安げにこの句集を読むものの背中を揺する。

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