会議の隙間を縫ってMOA美術館へ行って見たかったのだが、あいにくの休館日で、山本有三、志賀直哉、谷崎潤一郎が一同に会し、太宰治、舟橋聖一、三島由紀夫なども訪れたという「起雲閣」へ行ってきた。明治の豪商が立てたものらしいが、確かに贅をつくして内装のきらびやかさは目を奪う。
伝統的な和風建築のたたずまいながら、洋式の構造、中国の文様なども取り入れて当時としては斬新な建物であったのだろう。主室の「玉渓」は英国チューダー様式の建物で、暖炉の覆いにサンスクリット語の飾り、入口天井に竹があしらわれるなど独特の空間となっている。螺鈿(らでん)細工によって模様が施された西洋館。「ローマ風浴室」は、ステンドグラス、テラコッタ製の湯出口などに建築当時の姿を残している。主室の「玉渓」は英国チューダー様式の建物です。暖炉の覆いにサンスクリット語の飾り、入口天井に竹があしらわれるなど独特の空間となっている。
という説明を聞いていると、金にあかした無秩序が生み出した美と言えなくもない。
文豪たちがここに訪れたのは、この建物が高級旅館となってからで、しかし一般的には高額な宿泊費が敬遠されたようで、後に熱海市の所有となったという。


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