千の風 あとに残された人へ
私の墓前で泣くのはやめてください。
私はそこにいません。眠ってなんかいません。
ではじまるこの曲が静かなブームになっているという。
ところがブームになると早速これに飛びつくのが川柳人の悪い癖。しかも、詩の一節を17文字に切り取っただけのものが作品として提出され、入選句として発表される。私も川柳人の一人として顔から火の出るような恥ずかしさに俯いてしまうのだが、作者も選者も得意げにしている。
だが作者を責めることはできないだろう。もともと大会に文芸的意識を持って参加しているのは限られた小数で、殆どは籤引きにあたるかどうかの関心だけで参加しているのだから、パクリであろうが盗作まがいであろうが入選すればいいわけで、何を言っても無駄なこと。
しかし、少なくとも選者には、選者としての見識が求められて然るべきではないか。入選句には選者としての全責任を負わなければならないし、大会の成果は参加者で決まるのではなく選者の見識で決まるはず。
過日の姫路の会でも、関西の著名選者が「武士の一分武士道の意地通す」を入選としていたが、これは映画のキャッチコピーにしか過ぎない。とても作品と言えるものではなかった。

0