山本一力の時代小説は時代考証の確かさと、何より誠実な人物描写が好きで電車の中などでよく読むのだが、ある小説に黄八丈を作務衣仕立てにして着ている娘が登場し、・・ん?と思った。この娘、実は大店のお嬢さんだが、親の心配を尻目に江戸中を駆け回るおてんば娘という設定だからいいのかも知れないが、しかし、鮮やかな黄色の縦じまの黄八丈は、今でこそ高級な着物地として一般化されているものの、江戸時代から永井荷風の「墨東綺譚」のあたりまでは色町の女の着るものであって、堅気の娘の着るものではないと、何かで読んだことがあった。
で、早速ネットで検索してみると
「黄八丈は、八丈島に自生する草木を染料とした純粋な草木染めで、絹糸を「黄」「樺」「黒」に染め上げ、今でも、すべて手織によって織り上げられています」とあり、「室町時代から貢絹の記録があり、江戸時代には将軍家の御用品としても献上されていた」とある。
では私の勘違いか。それにしても長い間の間違った刷り込みで、お喋りな私は黄八丈についての薀蓄を傾けたことも一度や二度ではない。まあ、将軍家に献上したからといって、まだネットで探したぐらいでは江戸の町娘が黄八丈を着ていたという記録は見つからない。
どなたが着物に詳しい人、教えてください。

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