県や各市町村が主催するテーマ川柳の選をすることが多い。「もったいない」がテーマであったり、人権啓発がテーマであったり募集の形態はさまざまだが、決して豪華な賞品や賞金があるわけではないのに、驚くほどの応募がある。イラスト入りの微笑ましい小学生のハガキから、90歳近くのご高齢者からは、その半生を綿々と綴ったハガキなども届く。もっとも、綿々とつづることに一生懸命で、肝心の句は書き忘れ、また後からハガキが届いたと言う愉快な例もある。
当然のことながら応募作品は素人の域を出ず、拙いものばかりで、その90%はボツにせざるを得ないのだが、少なくとも応募者は川柳に向ってアクションを起こしているのである。目的は何であれ、575と指を折り、そこに思いをつづろうとする。その川柳というものへのかすかな意識の芽生えの、ほんの数パーセントでもいい、何とか川柳への興味にまで持っていけないものか。
そのためなら私はどこへでも出かけ、喜んでピエロの役は引き受ける。

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