短詩型文芸には日本人の精神的支柱でもあった和歌の流れを汲む短歌に、俳句、連句、川柳などに、やや衰退しているが冠句もあり、最近では五行歌という新しい形式が愛好者を増やしているという。しかし、それぞれのジャンルがどう交流しているか。越境することを邪道だとする保守的な勢力が交流することの障害になってはいないか。
川柳もながいあいだ、円座になって句を遊ぶ、つまり外に背を向けたまま仲間文芸として他のジャンルとの交流を避けてきた。一部の革新勢力が俳句などと交流することによって川柳に新しい血を導入しょうとしたが定着しなかった。
そして、またジャンルの越境が始まったきっかけは、私たち5人の同人誌「MANO」であった。川柳の仲間からはほぼ無視された私たちの川柳が、俳句と短歌の若手に思いがけない評価をされ、私たちも積極的に越境し、あらゆる機会に若手たちと話し合った。そして、それが川柳ではじめての結社横断的アンソロジー「現代川柳の精鋭たち」を生み、短歌、俳句、川柳が手を組んだシンポジュウム「ジャンクション2001」の実現となり、「バックストローク」創刊につながった。創刊時に京都で開催したシンポジュウムの熱風はまだ記憶に鮮明だが、この5月に東京で開催するシンポジュウムも各ジャンルか熱い期待の声が寄せられている。勿論、私たちの活動はまだ保守的な体質の支配的な川柳にあっては少数派の活動に過ぎない。しかし少数派だかにこそできる大胆な革新の志しをここで高らかに宣言したい。

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