大会でイヤな思いをすることに一つに、披講する選者に向って大向こうから「聞こえない、大きな声にしてください」と、それも一度ならず二度も三度も催促する無礼者がいるときである。ヘルスセンターの芸人ならどれだけ野次ってもいいが(芸人は野次られて大きくなる)、馴れない女性がかぼそい声で一生懸命がんばっているのに、何度も野次られてますます狼狽して消え入りそうな声になってしまう。そんなときはつい「耳を澄ませて聞け」「「前の席に移動しろ」「わずかな会費を払ったからといってそう威張るなよ」と大きな声をだしたいところを、よけい混乱すると思っていつも言葉を飲み込んでいる。
ただし選者も、選を引き受けたからにはマイクの心得ぐらいは当日までに勉強してきて欲しいものだ。今のマイクは高性能で使い方(マイクとの距離と角度)を身につければどんな小さな声でもよく通る。
これと同じようなことが昨日の(マイクなし)BSおかやま句会でもあった。会場の都合で机の配置は寺子屋式。小学校の机の並べ方である。その真ん中辺の席からの発言は確かに小さな声だった。しかし、川柳句会にでるのは初めての彼は馴れないせいもあってつい声が小さくなるのを奮い立たせているのもよく分かった。そのとき後方の席から「よく聞こえません大きな声でお願いします」という声が飛んだ。すぐたしなめたが、勿論イジワルや悪気があったわけではない。しかし仲間内ならともかく、初めての人の後から、それも発言中の背中に言葉を浴びせるのはやはり行儀が悪い。聞こえなければ後から確かめてもいいし、活字になってから読めばいい。
話や議論は顔を向け合って目を見ながらやらないといらぬ誤解も生じることになる。次回はいくら机が重くても口の形に配置したい。・・ねえ夕起子さん、豊子さん・・「こんなときだけ猫なで声で・・)

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