阿部忠秋の茶壺

2015/7/30 | 投稿者: 鹿苑院

徳川家光の家臣に阿部忠秋がいる。

忠秋が名物の茶壺を入手した時のこと。これを収める木箱を作るために職人を屋敷に呼んだ。ところが彼が作業に熱中している間に、連いてきた彼の子供が茶壺で遊び出し、ついには壺の口に突っ込んだ手が抜けなくなってしまった。
阿部家の家臣がこれを見咎め、大事な壺に何をしておる、早く手を抜かんか、ええい、どうしても抜けないならこのガキの手を斬り落として…と大騒ぎになってしまった。むろん職人は顔真っ青、子供はギャン泣きである。

「何事だ、騒がしい!」と出てきた忠秋、事の仔細を聞くと呆れ顔で、「おまえらバカばっかりか。こうしたらいいだろうが」と脇差の柄頭を壺にガチャン! 壺は割れ、子供の手は自由になった。

「大事な壺を割ってまで倅を助けていただきありがとうございます。この罪は倅に代わってあっしが…」と言い掛けた職人の言葉を皆まで聞かず、忠秋は「罪って何のことだ?」と心底わけがわからんという顔をして奥に戻っていった。


同僚の『知恵伊豆』こと松平信綱は冷静沈着な官僚というイメージがあるが、阿部忠秋の逸話には人情があるものが多い。
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