2021/7/5 | 投稿者: 鹿苑院

一遍上人の時宗についてはおおまかに二通りの見方があるようだ。
柳宗悦のように「親鸞聖人をも超えた他力の境地。あれこそ浄土教の最終発展形」という高評価と、「踊り念仏とか奇妙なことをやってる俗っぽい宗派」という見方である。僕は後者の見方をしていた。というよりあまり興味がなく気に留めることがほぼ無かった。

プロレスラーはロックアップした瞬間に相手の力量がだいたいわかるという。去年以来にわかに興味を持ち、本格的に一遍上人とロックアップしてみて、これはとんでもなく優れた人物だとすぐにわかった。今までの無関心が掌を返すように柳宗悦と同じ見解に僕もなった。

浄土宗、浄土宗西山派、浄土真宗、時宗はいずれも法然上人を祖師と仰ぐ。いかに法然上人の教えを正しく継承しているかがこれら宗派の争点だと言っていいが、この1年あまり仔細に研究してきたところ、時宗が最も法然イズムに近いと思える。
なおここで言う「浄土宗」とは宗教法人名である。一般的には「法然上人は浄土宗の開祖」と認識されておりもちろんそれで正しいが、宗教法人浄土宗は正確には浄土宗鎮西派である。鎮西派の派祖である聖光房弁長上人の著作を読むと正直かなり法然上人の教えからの逸脱を感じる。

今では時宗は小規模の教団になってしまったが、中世ではものすごいムーブメントだったらしい。
だいたい「この宗派はこの階級の人に信者が多い」という図式があるが(例:禅宗なら武士、浄土真宗なら農民、日蓮宗なら商人)、時宗に関して言えば上は公家・大名から下は被差別層に至るまで広い範囲に信仰されていたようだ。
新田義貞の墓は時宗の寺にあるし、足利将軍家から死者が出ると葬儀は時宗でやっていた。徳川家の先祖は時宗の遊行僧だったし、有名な東京大手町の平将門公の首塚も時宗である。意外と時宗は日本の歴史に大きな足跡を残しているのだ。
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