2015/7/30 | 投稿者: 鹿苑院

徳川家光の家臣に阿部忠秋がいる。

忠秋が名物の茶壺を入手した時のこと。これを収める木箱を作るために職人を屋敷に呼んだ。ところが彼が作業に熱中している間に、連いてきた彼の子供が茶壺で遊び出し、ついには壺の口に突っ込んだ手が抜けなくなってしまった。
阿部家の家臣がこれを見咎め、大事な壺に何をしておる、早く手を抜かんか、ええい、どうしても抜けないならこのガキの手を斬り落として…と大騒ぎになってしまった。むろん職人は顔真っ青、子供はギャン泣きである。

「何事だ、騒がしい!」と出てきた忠秋、事の仔細を聞くと呆れ顔で、「おまえらバカばっかりか。こうしたらいいだろうが」と脇差の柄頭を壺にガチャン! 壺は割れ、子供の手は自由になった。

「大事な壺を割ってまで倅を助けていただきありがとうございます。この罪は倅に代わってあっしが…」と言い掛けた職人の言葉を皆まで聞かず、忠秋は「罪って何のことだ?」と心底わけがわからんという顔をして奥に戻っていった。


同僚の『知恵伊豆』こと松平信綱は冷静沈着な官僚というイメージがあるが、阿部忠秋の逸話には人情があるものが多い。
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2015/7/30 | 投稿者: 鹿苑院

動画がネット上に転がっていなかったので載せられず申し訳ないが、長州力のベストバウトは1995年10月9日の東京ドーム大会、UWFインターとの対抗戦での安生洋二戦だったと思う。

入場シーンを見ると長州は肌がツヤツヤ、全身が筋肉の鎧で覆われている。昨今のスマートなレスラーとは違う、太くて頑丈な身体。いろんなレスラーを見てきたが、見るだけで強さが伝わってくるという意味ではこの時の長州の右に出る者はいない。

もちろん試合は一方的な展開で、序盤で安生はいろいろ手を変え品を変え攻撃をかけるのだが長州はこれをすべて受けきり、まったく平気な顔。安生のレパートリーがなくなったあたりで、「じゃあそろそろこっちからいくぞ」と言わんばかりに長州の攻撃が始まるのだが重みがまったく違う。リキ・ラリアットからのサソリ固めでまったく危なげなく完勝した。
一方的な試合は普通はプロレスファンには嫌われるのだが、この試合だけはそういう議論を超越した凄みがあったように思う。
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