2014/7/20 | 投稿者: 鹿苑院

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南宋の滅亡物語は美しい。中国の王朝の滅亡といえば、まずは王朝が腐敗し、人心が離れ、農民反乱が頻発し、その中から頭角を現した複数の群雄が相争って次の天下人が決まるというパターンが多いが、南宋に関して言えばそうではない。特に腐敗したわけでもなく農民反乱もなく群雄も割拠せず、ただただ攻めてきた元(モンゴル)が強大過ぎたというだけのことである。

この時代の南宋の忠臣といえば文天祥が有名であり、この本でも主人公格ではあるが、彼だけが主人公というわけではない。滅びゆく南宋朝廷の人々の群像劇が臨場感を持って描かれている。個人的には、一生懸命やっているものの常に間が悪く人望を得ることができない陳宜中が自分に似ているような気がした。

南宋最後の戦いは海戦である。幼少の皇帝以下、人々が入水していく姿は平家の滅亡を連想させるものがあった。奇しくも似た形で勝利した元朝と鎌倉幕府がやがて戦うことになるのは奇縁と言っていい。
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