2011/6/21 | 投稿者: 鹿苑院

幕末初心者が理解しづらいポイントの1つに、倒幕派がよく唱える「尊王攘夷」の捉え方がある。そもそも鎖国をしたのは徳川幕府だから、攘夷はむしろ佐幕につながりそうなものなのになぜ尊王と結合して倒幕派の合言葉になるのかが理解しづらい。孝明天皇の意思を無視して開国に踏み切ったのは幕府大老の井伊直弼だから…というのが一応の正解だが、もうひとつ根深い理由がある。

今でこそ、鎖国を完成させたのが徳川家光であることは小学校の教科書にも載っているけど、実は幕末の時点での歴史教育ではそれが既に常識ではなかった。「鎖国は大権現(家康)以来の祖法」と言っているのはまだ良い方で、かなりの知識人でも鎖国は天照大神が始めたものだと思い込んでいる人が多かったのだ。天照大神は皇祖神、すなわち天皇家の祖先に当たるので、したがってその思い込みを前提に考えると攘夷は尊王とこそ結び付く。そして神聖なる天照大神が太古の昔に定めた鎖国を破ろうとする徳川幕府はけしからんということになる。本当は彼ら倒幕派にとって敵に当たる徳川家光がたった二百数十年ほど前に決めたに過ぎないのだが。
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