2010/11/16 | 投稿者: 鹿苑院

「法華宗」とは法華経を根本経典とする宗派のことであり、以下の3つの意味がある。
@天台宗
A日蓮宗
B天台宗と日蓮宗の総称
断りなく「法華宗」と言った場合、Aを指すのが一般的だが、ここではBの意味で理解されたい。

聖徳太子は日本仏教の父なので、日本の仏教宗派で太子を尊敬しないものはなく、したがって法華宗もやはり太子を崇めている。その根拠は太子が書いた「法華経義疏」である。義疏とは解説書のことで、太子自身がこれを書いたくらいだから法華経を大事にしていたことは明白で、したがって聖徳太子は法華宗の祖とも呼べるわけだ。これにより天台宗では聖徳太子を中国天台宗の二祖・南嶽慧思の生まれ変わりともしている(ただし太子が生まれたのは南嶽慧思の死去より3年前で、つまり両者の生存期間は重なっているので生まれ変わりと考えるのには無理があるのだけど、この問題は「偉大な聖者は時空を超えて活躍するものだ」という理論で片付けられてしまっている。個人的にはかなり苦しい言い訳だと思う)。

さて、というわけで太子が法華経を大事にしていたことが明らかな今、太子を天台宗の系譜の中に組み込むことは可能なのだけど、一方で日蓮宗となるとどうか。確かに日蓮宗も法華経所依の宗派だが、ポイントは「法華経義疏」はソロではないということである。他に「維摩経義疏」「勝鬘経義疏」もあり、合わせて「三経義疏」と呼ぶ(浄土教徒の私としては、ここに「無量寿経義疏」や「阿弥陀経義疏」がないのが寂しいがそれはさておき)。

天台宗は仏教の総合商社というスタンスで、一番大事なのは法華経だが基本的にどんな経典でも尊いという立場だから、当然に維摩経や勝鬘経も大切にする。したがって「三経義疏」と天台宗は矛盾しない。
ところが日蓮宗になると法華経以外は全部認めないという教義になるので、したがって「法華経義疏」はありがたいにしても後の2つは容認できないということになる。そういう事情であれば、あとの2つとセットになっている筈の「法華経義疏」だけを都合良くpick upして聖徳太子を日蓮宗の系譜に組み込むことは無理があるのではないか。

以上、聖徳太子と「法華宗」についてつらつらと並べてみた。
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