好きな作家さんの新刊が出ていたので、、、
正確には出ていたことに気づいて買いました。
ということで、久々のれびゅーです。
今月は2冊。
『決起!コロヨシU』
三崎亜記
大きな流れに巻き込まれ、踊らされているだけなのか。
いいだろう、それならば踊ってやる。
お前たちの望む場所で、望む時に、オレたちなりのやり方で。
『コロヨシ!!』の続編となる本作。
戦後処理の過程で国技を持つ権利を剥奪された日本。
国技のないコノ国の、新国技候補として脚光を浴びたスポーツ。
それが掃除。
旧国技相撲との間に起こる新国技選定を巡っての駆け引き、掃除側の内部権力争いなどの大きな流れに翻弄され、踊らされ続ける少年少女たち。
別れ、孤独、切磋琢磨、再会、そして決起。
新国技選定の裏でうごめく陰謀。
掃除に隠された秘密。
現実とちょっとだけ違う世界でくり広げられる体育会系青春活劇第2弾。
三崎さんが作り出す不思議な世界は今作も顕在。
読みながらその世界を想像するのが実に楽しい。
そんな小説家さんであり、小説です。
『春から夏、やがて冬』
歌野晶午
客観性だ、人のためだ、相手のことを考えてだとかいくら言おうとも、そんなものは所詮自己満足でしかない。
人は分かり合えないし、思っていることを完全に理解することも出来ない。
けれど、人は思い、行動をする。
大切な人のために、そして自分のために。
たとえ万引きであろうとも犯罪は犯罪だ。
小学生であろうと誰であろうと関係ない。
警察に連れて行ってもらう、それが再犯防止に1番だ。
保安責任者として働く平田は、感情を殺して働いていた。
なのに、彼女のことは警察に突き出さなかった。
確かに反省の色は窺えた。
しかし、それで赦すような平田ではない。
みすぼらしい恰好を憐れんだのでも、色香に惑わされたのでもない。
同じだったから。
娘と、17歳で死んだ、いや殺された娘と同じ昭和60年生まれだったから。
歌野さんの小説を読むと思いますな。
どんな奇抜なトリックも、不思議で理解出来ない現象も、人の心理や行動のミステリアスさには敵わない。
人こそがミステリー。
ミステリーもたまにはいいもんです。

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