先日、ある方に私の歌の中にウルトラマンが居るという主旨の指摘を貰いました。また、別の方は私の歌声はヒーロー声だと言って下さいました。“平成の子門真人”になる事を目標にしている高野二郎にとっては何よりのほめ言葉です。
大震災直後から無力感に苛まれ歌舞音曲を生業としている自分には一体何が出来るのかと考え続ける日々が続きます。自分がウルトラマンだったらバリアで津波を防ぎ、ウルトラフリーザーで原発を冷凍して、マッハの速度で東北へひとっ飛び。ウルトラマンがいてくれたら、自分がウルトラマンだったら。百歩譲って電エースと戦った身長2000メートルの高野巨人ならその絶大な肺活量で放射性物質を吹き飛ばし被曝を恐れず原発を丸ごと撤去できるのに。不謹慎な妄想かもしれないけれど真面目に考えていました、それが叶わぬことと知りながら。
人間高野二郎は決して超人にはなれない。全世界、日本国を救う英雄にもなれない。当たり前です。じゃあ何が出来て何になれるのか?歌に魂込めてエネルギーを放出すること、両親、恩師、先輩、仲間から受け継いだ人間力で1人でも良いから元気になってもらう、希望を抱いてもらう、安らぎを感じてもらう。要するにみんなのウルトラマンにはなれないけれど誰かのウルトラマンになれるかもしれないし、こんなに嬉しいことはないって結論に至りました。
私の歌声で元気になってくれた方から逆に私も迷いを振り払う切欠を貰うことが出来ました。
世界中の人々ひとりひとりが“私は誰かのウルトラマン”て思えるようになったら少なくとも絶望的な事態にはならないと確信しています。
迷ったら空を見上げて「シュワッチ(ホントはシュワッチじゃないのですが)!」と叫んでみましょう。ウルトラの星があなたに微笑んでくれるはずです。