長かったようで終わってみると呆気ない8泊9日でした。本番の舞台がその最終日にやっと来ましたが呆気なく幕が降りてしまったという感じです。何せ舞台上にいる時間も歌っている時間も私のキャリアの中で過去最短でしたから(笑)。なんだか助演の役者さんのような気分です。しかし、出番が多かろうが少なかろうが、歌おうが歌うまいが本番の緊張感と放射するエネルギーは大して変わりませんからやはり終わると疲労感に襲われました。
初めてのびわ湖ホール。すばらしいホールでした。音響も申し分ないし。惜しむらくばもう少し長く歌ってホールの響きを味わえたら言うこと無しだったのに…。ここ数年、比較的出番の多い役が多かったので今回はよい意味で気楽に取り組めました。ドイツオペラ中心のレパートリーからイタリアオペラにも少しずつ活動の場を広げようとしている私には初ヴェルディ作品のこの海賊のカンパニーに参加出来たことは大いに収穫がありました。今回は複数のマネジメントの歌手が出演しましたので普段あまりご一緒する機会のない藤原歌劇団や梶本音楽事務所の方々とご一緒出来、楽しかったです。何より、今最も脂の乗っている世代の歌手の方々、ウ゛ェテランの方々と共演させて頂き非常に得るものがありました。前にも書きましたが二期会の公演は最近急速に若手主体に出演者が移ってきていて稽古場も舞台も重みが希薄に感じられていましたので久しぶりに普通のオペラに参加しているという気になりました。適材適所。大切なことです。このメンバーなら青臭い舞台には絶対なり得ませ
ん。気が付けば私も中年、じゃなく中堅世代。オペラソリストデビューしてから10年目。もう若手といったら怒られます。今まで以上にしっかりしないとこの業界で生き残れなくなってしまいます(笑)。
オペラの舞台に立つ度に思うのはやはり自分にはオペラ歌手の血がながれているんだなあという事です。クラシカル・クロスオーヴァー歌手を名乗っていますがオペラ1本を演唱する経験と技術、体力があったからこそ出来ているんだと言うことに改めて気付くのです。これで年内の舞台出演は終了しました。あとはコンサート、ライウ゛活動です。今回歌い足りない分は演奏会でバンバン歌いましょう!随時予定をお知らせ致しますのでしばらくお待ち下さい。
写真は奴隷役の湯川君(芸大学部の先輩で院の後輩。久々の共演でした)と衣裳デザイナーのスティーブ氏。
