今回はポリドーリの小説の粗筋です。
舞台はロンドン。ルスヴェン卿(ルートフェン卿)なる見知らぬ紳士が社交界に忽然と現われた。あまたいる女たちば彼の抗し難い魅力に多大なる関心を寄せていた。時を同じくして現われたのは純真なる美少年(!!!)オーブレー(オーブリー)であった。オーブレーは両親を亡くして、たった一人の妹を連れてロンドンにやってきた。彼は莫大な財産を両親から受け継いでいたので、社交界はそんな彼を放っておきはしなかった。そこに不幸かつ運命的な出会いが生じた。オーブレーは謎めいた紳士ルスヴェンと近付きになるが二人はホモセクシャルな関係に陥った。
二人はギリシャへ旅立ったが彼の地で喧嘩別れ。オーブレーは愛想をつかして土地の女イヤンテ(ヤンテ)と愛し合うのだった。が、それも束の間、イヤンテは吸血鬼に殺されてしまう。失意の余りオーブレーも病の床につき、そこへルスヴェン卿が現われた。どうやら彼が吸血鬼らしいがオーブレーは気付かない。それどころかルスヴェンの手厚い看病に、かえって心を寄せるのであった。
病の癒えたオーブレーとルスヴェン卿はギリシャ各地を心もそぞろに歩き回る。ある日、ある所で山賊に襲われ、ルスヴェン卿は殺されてしまう。
オーブレーは一人イギリスに戻った。すると驚くべきことに死んだはずの、しかも目の前で殺されたはずの、あのルスヴェン卿が生きていたではないか。しかも、こともあろうに彼の妹と婚約までしていた。ことここに至っでルスヴェン卿の正体は吸血鬼と見抜いたオーブレー。何とかして妹を彼の毒牙から救いだそうとするが逆に狂人とされて手も足もでない。ついに悪魔ルスヴェン卿はその暗い瞳をギラつかせて妹を襲うのだった…。
