2010/3/2

岩座の王  詩歌

みちのくの岩座(くら)の王なる蔵王よ
        耀く盲(めしい)たりて吹雪きつ

                          葛原妙子

岩座の王(自句)

窓開けて音たしかむる春隣
手袋の指しなやかに組み給ふ
岩座(くら)の王赤城は春を近づけず
西行忌星の裏よりメール来る

2010/2/26

葛原妙子歌集  詩歌

暴王ネロ石榴を食ひて死にたりと
        異説のあれば美しきかな

天体は新墓(にいはか)のごと輝くを
        星とし言へり月とし言へり

黄酒(ほわんちう)よりややうすき月のひかり差す
        ラヴェルのピアノ「鏡の集」

                      葛原妙子歌集より


          銀色の猫(自句五句)

        銀色の猫がよこぎる春の夢
        春コートおもちゃの切符銀河行き
        如月の男もすなる料理かな
        広野ゆく翅のやふなる春コート
        春雨やルームライトの仄白く

清水の舞台より飛び降りたつもりで「葛原妙子歌集」を買う。
書店の帰り春の雨に濡れる。

2009/11/5

猫3  詩歌

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         猫
 
           萩原朔太郎作(「月に吠える」より)

    まっくろけの猫が二匹、
    なやましいよるの屋根のうへで、
    ぴんとたてた尻尾のさきから、
    糸のやうなみかづきがかすんでゐる。
    「おわあ、こんばんは」
    「おわあ、こんばんは」
    「おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ」
    「おわああ、ここの家の主人は病気です」

------------------------------------------         

           月光や猫青白く発光す
           月光を浴たる猫の青白し
                   修司

2009/9/6

百人一首八十七番  詩歌

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(画像インプレス社刊「photoコレクション」より)

     村雨の露もまだひぬまきのはに
         霧たちのぼるあきのゆうぐれ
             寂蓮法師(「新古今和歌集・秋下」より)

  [イメージメモ]
       はげしい通り雨の後
       槙の葉がまだ露に濡れている。
       その露から立ちのぼるように
       霧が流れだして暮色を深めてきた。
       なんと静かな秋の夕暮れであろうか。

  [返句として]

  てのひらに露の一粒雨後の月   修司

2009/8/30

蟋蟀  詩歌

           「蟋蟀」  
             山村暮鳥作(「風は草木にささやいた」より)

          記憶せよ
          あの夜のことを
          あの暴風雨を
          あの暴風雨にも鳴きやまず
          ほそぼそと力強く鳴いていた
          蟋蟀は声を合わせて    
          はりがねのように鳴いていた
          自分はそれを聞いていた。



この詩が作られた1918年に日本はロシア革命に干渉すべくシベリヤに出兵する。
第一次世界大戦の勝利国の一員として日本はアジアにおいて一人勝ちの感があった。
しかし、わが国が軍事大国するにつれて庶民の暮らし(特に農村部)は疲弊する。
シベリア派遣軍の出発の日に、全国におよぶ米騒動が起こった。
出兵を見越した米の買占めにより米が暴落したのだ。
八月第一回目の米騒動が起こり、新聞がその事件を報じると騒動は全国に波及した。
騒動は約一ヶ月間続き三十六府県で七万人の人々が参加した、という。


台風11号があした関東地方に接近するという。
嵐の中での新政権の発足になるだろう。
私たちの声が政治に届くだろうか?
しっかりと見つめていなくてはならない。

(参考・「昭和史」岩波新書より)



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