美の祝典T やまと絵の四季
会期:2016年4月9日(土)〜5月8日(日)
今年、開館50周年を迎えた出光美術館が奈良・平安期〜江戸時代にかけての日本美術を3期に分けて展示するという企画が始まりました。
やまと絵(会期:4月9日(土)〜5月8日(日))、水墨(5月13日(金)〜6月12日(日))、江戸絵画(6月17日(金)〜7月18日(月・祝))の分けられた企画の第1期の会期末に行ってきました。
開館直後に入りましたが、入場者は多いものの特定の展示の前で混みあうことはなく、ストレスなく見られました。
まず会場入ってすぐのコーナーに据えられた六曲一双屏風4 が圧巻。
美術館のサイトにも画像がある『日月四季花鳥図屏風』(紙本着色、室町時代)。右隻は、春景、桜花に雉、太陽は金色の丸い金属板を貼りつけています。左隻は、秋景、紅葉に菊、萩を描き、萩の茂みのなか鹿が影のように描かれています。
『宇治橋柴舟図屏風』(紙本着色、桃山時代)は、枝垂れ柳、流水の描き方をパターン化し、リズムのある画面構成がされています。水流、枝垂れ柳、水車、蛇籠といった素材でパターン化された画面を構成する屏風はことの時期、いくつも作られたのでしょう。
『吉野龍田図屏風』(紙本金地着色、桃山時代)は、右隻に、胡粉を盛り上げて、吉野の桜を、左隻に、龍田山の紅葉を、それぞれ画面からはみ出さんばかりに描いています。
『四季花木図屏風』(紙本着色、室町時代)は、狩野探幽が土佐光信筆とみなした「紙中極」が読み取れます。全体的に暗い印象なのは、銀砂子が黒変したからでしょうか。
続いて、絵巻、掛幅が並びます。
冷泉為恭『雪月花図』(双幅、紙本墨画着色)、右隻は、『源氏物語』「若菜 上」、左隻は、『枕草子』第二八〇段「香炉峰の雪」を題材にしたと考えられているということ。左右とも画面下半分の近景に七名ほどの人物を絵描き、遠景に霞の向こうに浮かぶ山を描いています。
俵屋宗達 画・烏丸光広 詞書『西行物語絵巻 第一巻』(紙本着色)は、いづれの場面か解説がありませんでしたが、公家が居並ぶ形式的な場面でした。
『伴大納言納言 上巻』(紙本着色) この絵巻を三期に分けて全巻展示するというのが、今回の目玉の一つです。
場面の拡大表示とともに物語の展開を解説しているので、漫画を読む感覚で楽しめます。拡大すると、しわやはがれなどの損傷もよく見えてきて、修復、保管の必要性も感じられるのでした。
『絵因果経』(一巻、紙本着色墨書、奈良時代) 奈良時代の色彩を残す写経本は、東京藝術大学大学美術館にもあり、今年の春のコレクション展(〜)で公開がされています。
『真言八祖行状図』(八幅対、絹本着色、保延二年) これまで何回か出光美術館に来ていて、見たことがないと思ったら、「修復後初公開」とありました。「八祖像」ではなく「行状図」ですから、一幅につき、説法や伝授など三つの場面を描いていて、人物は小さく描かれています。龍猛から不空までの四幅は秋景、善無畏から空海までの四幅は春景で描かれています。
勝覚『理趣経種字曼荼羅』(一巻、彩箋墨書、保安三年) 筆者は京都・醍醐寺十四世座主。雲母摺りの料紙。
伝・俵屋宗達『月に秋草図屏風』(六曲一双、紙本金地着色) 余白のある画面は、全体が見渡せるところまで下がって見ます。銀泥で描かれた下弦の月が黒変し、にじんでいます。
滞在時間:10:00〜11:10

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