本文中、作品名にリンクが設定してあるものは、クリックするとe国宝、または、東京国立博物館の情報アーカイブ等で画像を見ることができます。 文中、展示室番号の後ろに「〜日付」で今回の展示期間を表示しています。
特別展
飛騨の円空−千光寺とその周辺の足跡− 〜4/7
円空(えんくう、寛永九年(1632)〜元禄八年(1695)) 美濃国に生まれ、各地(奈良より東、北は北海道まで)を行脚し、木彫りの仏像を残した、江戸時代の僧。東北地方には、初期の彫像、岐阜飛騨地方には、晩年の彫像が多く残る。
袈裟山千光寺は、奥飛騨・丹生川町にある、高野山真言宗の寺院。
作品名のうしろに(所蔵寺社名)がないものは、千光寺所蔵。
会場入ってまず目につくのが、高さ2メートルを超える<護法神立像>、それから、<金剛神立像>(飯山寺)、<不動明王立像>(素玄寺)
水の神<難陀龍王像><跋難陀龍王像><八大龍王像>
言われなければ、そうは見えない<狛犬>
三尊型式の<不動明王および二童子立像>
31躯の群像<三十三観音立像>
<両面宿儺坐像>について
『日本書紀』では怪物ですが、千光寺周辺では救世観音の化身と伝えます。円空仏にはめずらしく光背をそなえ、正面に二つの顔を並べるのは礼拝の対象として造られたからでしょう。(展示解説より)
地面に生えたままの立木に梯子をかけて彫ったという<金剛力士(仁王)立像 吽形>
<歓喜天立像> 7年に1度しか開帳されない秘仏を厨子から出して展示。
<千手観音菩薩立像>(清峰寺)、<聖観音菩薩立像>(清峰寺)、<龍頭観音菩薩立像>(清峰寺)、この三尊の像は、画像で見かけることも多いと思います。今回、展示されている中では最も、手を合わせたくなる、言い換えれば、信仰の対象としての仏像の雰囲気を最も強く感じられました。印刷物から受ける印象よりも大きく感じました。
<十一面観音菩薩立像>(桂峯寺)
12躯の群像<神像>(神明神社) 背面には梵字の墨書
参考サイト: 1089(トーハク)ブログ「
飛騨の円空−千光寺とその周辺の足跡−」
展示室の広さに対して、詰め込みすぎの感じがしました。
例によって、本館特別5室の出口付近は、混雑しています。
以前、東京国立博物館の平常展で「円空」と「木喰」が並んでいたことがあったのを思い出し、過去記事を探してみたら、2011年5月に、
五百羅漢寺の松雲元慶<羅漢坐像>
円空<
如来立像>
木喰<
木喰自身像>
が展示されていました。
では、続いて、本館総合文化展
本館2階 2室 〜1/14
長谷川等伯<
松林図屏風>(六曲一双、紙本墨画)
3室 〜2/11
<木版両界曼荼羅図>(二幅、鎌倉時代)
胎蔵界 金剛界
<
佐竹本三十六歌仙絵巻断簡(住吉明神)>(一幅、紙本着色、鎌倉時代)
<
松浦宮物語>(一帖、彩箋墨書、鎌倉時代)
<
元暦校本万葉集巻四(高松宮本)>(一帖、彩箋墨書、平安時代) 見られたのは、e国宝の画像なら11枚目、大伴坂上郎女の返歌から始まる
返歌
朝髪之念乱而如是許名姉之戀曽夢尓所見家留
あさかみの おもひみだれて かくばかり なねが
こひぞ ゆめにみえける
1089(トーハク)ブログでも解説されていますが、同じ歌を「万葉仮名」(まんようがな)と仮名(かな)で表記しています。
<
元暦校本万葉集巻十八(古河本)>(一帖、彩箋墨書、平安時代) 見られたのは、e国宝の画像なら8枚目
倍母許奴可安麻能都夫祢
はまへより わがうちゆかば うみへより
むかへもこぬか あまのつりぶね
於伎敝欲里美知久流之保能伊也麻之尓安
我毛布支見我弥不根可母加礼
おきへより みちくるしほの いやましに
あがもふきみが みふねかもかれ
<
古今和歌集(元永本)下帖>(一帖、彩箋墨書、平安時代) 本館3室のなかでこれだけ、1/14まで。
見られたのは、e国宝の画像なら111枚目
返し 業平朝臣
よのなかに さらぬわかれの なくもがな ちよもとなげく 人のこのため
寛平御時后宮の歌合歌 在原棟梁
白雪の八重ふりしけるかへる山 かへるがへるもおいにけるかな
7室 〜1/14
尾形光琳<
風神雷神図屏風>(二曲一双、紙本金地着色)
海北友松<
琴棋書画図屏風>(六曲一双、紙本墨画着色)
8室 〜1/14
白隠<福神家訓 >(一幅、紙本淡彩)
金を積みて子孫に遺す。
子孫未だ必ずしも能く護らず。
書を積みて子孫に遺す。
子孫未だ必ずしも能く読まず。
陰徳を冥々の中に積みて、
以って子孫久長の計を遺さんに如かず
恵美寿三郎の需(もと)めに依って書す。
長汀子契子(布袋和尚のこと)(展示解説より)
伊藤若冲<
松梅群鶏図屏風>(六曲一双、紙本墨画淡彩)
住吉具慶<
洛中洛外図巻>(一巻、絹本着色)
10室 〜1/27
鳥文斎栄之<
隅田川図巻>(一巻、絹本着色)
特別1・2室 〜1/27
特集陳列「博物館に初もうで 巳・蛇・ヘビ」
<仏涅槃図>(一幅、絹本着色、室町時代)
狩野一信<
五百羅漢図 第三十幅 神通>(一幅、絹本着色)
狩野晴川院養信<
応永舞楽図巻(模本)>(一巻、紙本着色)
本館1階
18室 〜1/27
横山大観<
游刃有余地>(二幅、絹本着色)
作品解説によれば、『荘子』養生主第三第二話に取材した作品ということで、その話とは、
庖丁(ほうてい)、文恵君のために牛を解(と)けり。手の触るる所、肩の倚(よ)る所、足の履(ふ)む所、膝(ひざ)のかがまる所、カク然たり、響然(きょうぜん)たり。刀(とう)を奏(すす)むることカク然として音に中(あた)らざること莫(な)く、桑林(そうりん)の舞(まい)に合(かな)い、乃(すなわ)ち経首(けいしゅ)の会(しらべ)に中(あた)る。
この話について、わかりやすく述べているブログがありましたので、興味がある方は、こちら(
庖丁解牛 / 漢字家族BLOG版)をご覧ください。大観は、『荘子』の「庖丁」と自身とを重ね合わせて描いたのでしょう。
荒木寛畝<貴妃読書西施弾琴>(二幅、絹本着色)
楊貴妃、西施という二人の美女を描く。
下村観山<
弱法師>(六曲一双、絹本金地着色)
謡曲『弱法師』に取材した作品。
参照サイト
東京国立博物館 東京国立博物館ニュース
1089(トーハク)ブログ
メモ: 最寄り駅 JR上野駅公園口、JR鶯谷駅、メトロ銀座線・日比谷線上野駅
料金 円空展 900円 (平常展示のみの場合、600円)
所要 約1時間40分(東洋館、本館平常展、円空展)

1