ボストン美術館 日本美術の至宝 3/20〜6/10 平成館
一週間前に行ったのだけれど、なかなかあげられず、月を跨いでしまった(汗)。
明治時代、アーネスト・フェノロサ、ウィリアム・ビゲローが収集した日本美術作品が1年以上の長期にわたって日本国内を巡回する企画展。東京国立博物館では、期間中、展示替えなし。
第一会場入ってすぐ、平櫛田中<岡倉覚三像>がある。釣竿を手にした岡倉天心である。また、橋本雅邦<
騎龍弁天>(リンク先:Museum of Fine Arts, Bostont、以下、MFA,Bostonと略す)も近くに。
チラシやポスターに使われている、龍の水墨画は、曽我蕭白による障壁画<雲龍図>(紙本墨画)。襖八面分が修復されて展示されているが、龍の胴体部分に相当する中央二面分(もしかしたら四面分かもしれない)が所在不明らしい。ということは、現在見られるものよりも更に横長の画面なのだ。L字やコの字の配置も考えられるが、これだけ長大な襖を有する寺院はどこだったのだろうか。
同じ蕭白でも、<雲龍図>の豪快さ、疾走感とは対照的なのが、<
ホウ居士・霊昭女図屏風(見立久米仙人)>(六曲一双、紙本墨画淡彩)(リンク先:MFA,Boston)。静かな画面ながら、霊昭女の生足に見とれるホウ居士の眼差し、その場に漂う空気が感じられる。(ホウの字:广(まだれ)に龍)
伊藤若冲<
十六羅漢図>(十六幅のうち四幅)(リンク先:MFA,Boston、今回展示されているものではないが)
尾形光琳<
松島図屏風>(六曲一隻、紙本着色)(リンク先:MFA,Boston)
俵屋宗達の工房作と思われる2点、<
芥子図屏風>(六曲一双、紙本金地着色)(
左隻、リンク先:MFA,Boston)
<
水禽・竹雀図>(双幅、紙本墨画)(
竹雀、リンク先:MFA,Boston) 水禽図のほうは、<蓮地水禽図>を思い起こさせる。
蕭白の<雲龍図>の修復・公開というのも目玉の一つではあるが、それよりも、二大絵巻の公開に期待する人は多いだろう。ここが一番混雑しているが、待ってでもじっくり見たいという気持ちは変わらない。
一つは、<
吉備大臣入唐絵巻>(四巻、紙本着色、平安時代)(リンク先:MFA,Boston、第一巻) 遣唐使の吉備真備が、唐で無理難題を突きつけられているところを、阿倍仲麻呂の霊が救うという物語で、怪異譚というよりも、試験問題を盗み聞きしたり、ユーモラスな展開。
もう一方の<
平治物語絵巻 三条殿夜討巻>(一巻、紙本着色、鎌倉時代)(リンク先:MFA,Boston) 結局、3周して繰り返し見た。
平治物語は、平治元年(1159)十二月に起きた騒乱、平治の乱の顛末を描いたもの。三条殿夜討の巻は、平治の乱の発端、藤原信頼と源義朝の軍兵が後白河上皇の御所三条殿に火を放ち、上皇を内裏に移して幽閉する場面。
冒頭の詞書「九日丑刻...信頼卿数百騎乃軍兵を...院御所三条殿へ参て信頼をう当るへきよし承れハ東國北方へ...」と読める。「九日」は、平治元年(1159)十二月九日の深夜、現在で言えば、10日午前2時頃の出来事。
「上西門院ハ」「信頼義朝佐渡式部大夫重成検非違使源光基前検非違使季實」「一本御書所」「火を放て...をハ射ころし切ころすも」「命を失ふ主の数をしらす義朝謀反をおこし...三条殿」などの文字が見られる。
巻末の詞書には、「同寅刻 信西 姉小路西洞院乃宿所追補し 火を放」とある。
往来に人があふれ、燃え盛る炎と、乱入する兵馬、井戸の中に折り重なる人たち、殺戮、緊迫感あふれる場面展開。詞書がすらすら読めたなら、更に臨場感が増したに違いない。平治の乱については、
一つ前の記事でざっくりまとめた。
4月17日〜5月27日には、本館2室で、<
平治物語絵巻 六波羅行幸巻>(リンク先:e国宝)が展示される。
参照サイト
東京国立博物館 東京国立博物館ニュース
ボストン美術館 日本美術の至宝 / 1089(トーハク)ブログ
ボストン美術館 日本美術の至宝 / インターネットミュージアム
メモ: 最寄り駅 JR上野駅、JR鶯谷駅、メトロ銀座線・日比谷線上野駅
料金 1500円

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