山口 晃 展
ほぼ総覧−お絵描きから現在まで
群馬県立館林美術館 1月13日(月・祝)まで
昨年10月から開催されているというのに、ようやく行ってきました。これは行かなくてはいけません。「
ほぼ総覧」なのであって、「あれはないの?」という向きもあるかもしれませんが、個人蔵の作品まで借りてきているし、ビデオ映像もあるし、大作もあれば、下描きも、子どもの頃の「お絵描き」も、というわけで、単に山口作品を網羅しようというよりは、山口作品の生まれてくる過程を垣間見るような、そのような展示だと思いました。
1990年代のカンヴァスに油彩の作品から始まり、
「大師橋圖畫(平面図及び断面図)」(1992、ペン・水彩・紙)は、「パース」ですよね。
「大師橋圖畫(平面図及び断面図)」に見るような、緻密な構成をもとに描かれている一方で、わざと遠近法をずらしたような作品も。
「深山寺参詣圖」(1994、油彩・カンヴァス)は鳥居などの建造物が次々重なって、 M. エッシャーの「だまし絵」のようだし。
「山乃愚痴明抄(やまのぐちあきらむのしょう)」(1995、油彩・カンヴァス)では、画面の最後の方(左端)で、画伯が愚痴をこぼしているのですが、このあたりは「確信犯」的なにおいがします。
日本橋三越のポスターや本の表紙、挿絵など。澁澤龍彦『貘園』の挿画、五木寛之『親鸞』の挿画。
現代の百貨店のポスターのなかに、ちょんまげの人物が紛れ込んでいたり、ねじり鉢巻きに下帯だけの人足が荷物を運んでいたりというように、江戸と現代を重ね合わせる手法。
馬や小鳥の体の一部がメタリックな構造体とすり替えられていたり、SFっぽい作風のもの。
そして、『すずしろ日記』に見られるような、脱力系、絵手紙風味の作品群。
次はいつ公開されるかわからない、幼少期の「お絵描き」とか、「神鳥図」(1996、油彩・板)。
映像も上映しています。
「Tokio山水(東京圖2012)」は、(2012、墨・カンヴァス) 制作中ではなくて、これで完結しちゃっているんでしょうか? 湾岸エリアには、巨大な防波堤のような構造物が。
拙宅からは車で約1時間。電車で上野まで出かけるよりは早いです。ガソリンも往復の距離から計算すると7リットルくらいのはず。
朝、開館を待って入館したので観覧者が少なく、ストレスなくゆっくり拝観できましたが、退館時には、チケットを買い求める人が並んでいました!
天気が良かったので、雪に覆われた富士山がよく見えました。
(画像は、クリックすると大きいサイズで見られます)
参照サイト
群馬県立館林美術館
メモ: 最寄り駅 東武伊勢崎線 多々良(たたら)駅
観覧料 800円
所要 約2時間(「山口 晃 展」の展示室を出て時計を見たら、2時間近くいた!)

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