尼門跡寺院の世界−皇女たちの信仰と御所文化 会期:4/14〜6/14
尼門跡(あまもんぜき)とは、天皇家や公家(摂関家)に生まれた息女が出家して住職となり、継いできた寺院。また、「門跡さま」といえば、そこの住職を指す言葉。
大聖寺(だいしょうじ) 御寺御所 京都市上京区
宝鏡寺(ほうきょうじ) 百々御所(どどごしょ) 京都市上京区
曇華院(どんけいん) 竹御所 京都市右京区
光照院(こうしょういん) 常盤御所 京都市上京区
円照寺(えんしょうじ) 山村御殿 奈良市山町
林丘寺(りんきゅうじ) 音羽御所 京都市左京区
霊鑑寺(れいかんじ) 谷御所 京都市左京区
中宮寺(ちゅうぐうじ) 斑鳩御所 奈良県生駒郡斑鳩町
法華寺(ほっけじ) 氷室御所 奈良市
三時知恩寺(さんじちおんじ) 入江御所 京都市上京区
慈受院(じじゅいん) 薄雲御所、烏丸御所 京都市上京区
宝慈院(ほうじいん) 千代野御所 京都市上京区
本光院(ほんこういん) 蔵人御所 京都
これら13の門跡寺院に受け継がれてきた所蔵品から約190点を展示、なかには、展示期間が2週間しかないものもあります。
まず地下2階の展示室へ降りていき、次に3階の展示室へ移動する順路は、常の如し。地下2階の展示室のうち、一方は、芸大コレクション展。
展示室入ってすぐ、大画面モニターが置かれ、法華寺門跡雛会式(ひなえしき)のビデオが、声明の調べとともに繰り返されています。
産着とか人形とか、深曽木(ふかそぎ、5歳で髪を切り揃える儀式)に使った道具とか、江戸時代に使われたものが大切に伝えられています。
3階の展示室には、聖徳太子ゆかりの中宮寺から<天寿国繍帳裂>が展示されています。鎌倉時代、中宮寺の信如尼が発見し、その発願により模本が作られ、推古天皇の時代の繍帳と鎌倉時代の模本がつなぎ合わされているそうです。また、大正十年には、当時の宮内省から古裂を請受できたそうで、それは、皇室との結びつきや寺の格式の高さが認められていた証でしょうね。
光明皇后(701〜760)ゆかりの寺、法華寺の御守犬は、仏教を篤く信奉した光明皇后の護摩供養の灰で作ったのが始まりとか。<光明皇后像>(絹本着色、法華寺所蔵)は、小堀鞆音作、作者名に知った名前を見たのは、これと、狩野晴川院<団扇(波に兎図)>(宝鏡寺所蔵)くらい。
鉢、袈裟、墨跡といった展示からは、禅宗系寺院であることがうかがわれます。鉢と袈裟は、三衣一鉢と言われる、僧侶の必携品。宝鏡寺所蔵の江戸時代の七条袈裟は、裏面に師僧・大随道機和尚の墨書が入っているのものですが、たて綾、横綾、平織りを組み合わせた凝った織文様は、尼門跡なればこそでありましょう。
展示会場の奥には、霊鑑寺、上段の間(客殿の一室)がCanonの技術のもと、複製されています。禅寺というと、わび住まいというイメージが伴なったりしますが、門跡寺院は、格式の高さとか風格を感じさせます。
慈受院所蔵の九谷焼の湯のみ2点は、内側(!)に李白「江上吟」56字、虞世南「春江花月夜」119字を書写したもの。
尼僧の某が描いた、とか、使っていた、とか、誰から賜った、といった来歴がわかっているものが多く、御所文化といっても、絢爛豪華とか、きらびやかいうものではなく、信仰に生きてきた、何かを守り続けてきたという思いを感じられる企画展です。
芸大コレクション展 春の名品選 会期:4/14〜6/14
「尼門跡寺院」のほうは、細かい展示品が多く、入場者も多かったのですが、こちらは、広くゆっくり鑑賞できる空間になっています。
<小野雪見御幸絵巻>(一巻、紙本着色、鎌倉時代)は、2007年4月以来、2度目。
川端玉章<墨堤春暁>(一幅、絹本着色、1890)、上村松園<草紙洗小町>(一幅、絹本着色、1937)、どちらも大きい!
彫刻では、平櫛田中<良寛来>(木像、1930) ひょっこりやって来た軽さがイイ!
柴田是真の下図、狩野芳崖の図案などあり
<陵王装束>(一式、絹、明治時代) 間近で雅楽の舞の衣装を見ることなんてないだろう。
尾形乾山<銹絵染付山水図鉢>(京焼、江戸時代)
不詳<花鳥山水蒔絵螺鈿香箱>(金梨子地 金・銀平・高蒔絵 螺鈿 珊瑚・石・銀玉嵌、内面 金梨子地 亀甲結文形) 六角柱を3つ組み合わせたような、モダンな造形と細工が素晴しい。
陳列館では、ラトビア藝術大学と東京藝術大学美術学部との国際交流展(会期:4/9〜4/26 無料)

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