昨晩の
爆笑問題 の ニッポンの 教養 (NHK総合 毎週火曜日午後11時〜)は、
生物海洋学、海洋生態学の、上 真一(うえ・しんいち)氏を訪ね、
エチゼンクラゲの大発生のメカニズムを軸に話を展開。
その中で、エチゼンクラゲは、汚れのひどい海域で繁殖するという話が出てきた。 中国・黄河の濁流が流れ込む、渤海から黄海の沿岸に大量繁殖し、海流によって、日本海沿岸に漂着するらしい。 魚貝類が住めないような汚染された海域に、クラゲだけが住み、プランクトン類を独り占めして、繁殖し続けているらしい。 環境汚染を気にしない、中国の経済成長は、まだまだ続くだろうから、黄海沿岸のエチゼンクラゲもまだまだ増殖し続けるだろう。
ところで、上氏によれば、クラゲはただ増殖し続けるだけでなく、海水の浄化にも一役買っているらしい。 エチゼンクラゲは、掃除屋でもあるらしい。 大量発生して海を浄化しようとしているのか?
「
エチゼンクラゲの大発生は、自然から人間への警鐘ではないのか」
と上氏は言う。
自然界の特定の動植物が大発生して人間へ警鐘を鳴らす、この手の話、ほかにも聞いたことはないだろうか?
突然思い起こしたのが、宮崎駿『風の谷のナウシカ』
あの物語には、「腐海」と呼ばれる、巨大な粘菌の森が登場する。 腐海の植物、菌類は、人間には有害な気体や菌を放出していて、人間はその近くには住めない。 腐海の増殖によって人類は生活圏を失いつつある。 ナウシカは、その森に生息する植物を栽培して、清浄な土と水で栽培すれば、有害な気体を放出しないことを突き止め、腐海は、大地を浄化しているのではないか、と考えるようになる。
菌類・細菌類は、食物連鎖の中では、有機物を無機物に分解するから、
分解者と呼ばれる。 食物連鎖とは、光合成を行なって有機物を作り出す緑色植物と、それを直接、間接に利用する動物とのつながり。 植物も動物も、その死骸は、分解者によって分解され、生成された無機化合物は、再び緑色植物が利用する、という循環が存在する。
クラゲは、世界征服を企てる脳を持たないが、自然界の循環が狂うと、どこかに異常が現われ、それを補修するために、クラゲやプランクトンが総動員されるようにも見える。
地球温暖化対策だの、二酸化炭素排出削減だのと騒いでいるが、地球全体としては、この程度の変動はたいしたことでは無いのかも知れない。 騒いでいるのは、地球上で最も適応力のない人間だけなのだろうと思う。 だからと言って、人類滅亡というのも悲しい話だ。 上氏は「
豊かな海」「
人間にとって有用な海」と言うが、自然界にあるべき循環を取り戻しつつ、人間の生活も安定させるというのは、とても難しいことだと感じた。

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