...おや? あんなところにも美が隠れていた。...
今夜の 「
美の壺 」(NHK教育、毎週金曜 22:00〜22:25)のテーマは、
屏 風
番組のサイトに放送内容が掲載されているので、それと重複しますが、展覧会へ行って屏風を見ることが多いので、「鑑賞のツボ」をメモしておきます。
「風を屏(ふせ)ぐ」と書いて「屏風(びょうぶ)」
屏風は、7世紀ごろに中国、朝鮮から伝わったとされ、正倉院に保管されている『鳥毛立女屏風』は、8世紀に作られたものだそうです。
すきま風が通る日本家屋で「風よけ」として使われてきた屏風は、「間仕切り」「物隠し」としても使われるようになります。
矩形の木枠に和紙や布を貼った、ひとつひとつの面を、「扇(せん)」と呼びます。 六扇をつないだものを一対にしたものを「六曲一双(ろっきょくいっそう)」と呼び、室町時代頃から屏風の一般的な形となります。 一双屏風は、向かって右側を「右隻(うせき)」、左側を「左隻(させき)」と呼び、対にして飾るのが基本です。
壱のツボ
表装が絵を引き立てる
屏風は和紙を重ね貼りして作りますが、その際、歪や反りを防ぐために、紙を完全に糊付けせず、風を通すように工夫しているそうです。 また、扇と扇をつなぐ部分には、「紙の蝶番(ちょうつがい)」をつけて、360度回転できるようになっているそうです。
屏風は、飾り金具と裂(きれ)で縁どられています。 「洛中洛外図屏風」(上杉本)の修復にあたっては、上杉家ゆかりの文様をあしらった裂を新たに作ったということです。 作品にふさわしい< 表装 >が、作品の風格をより一層引き立てます。
弐のツボ
折り曲げて見える美の世界
「四季花鳥図屏風」(酒井抱一)のような< 屏風絵 >では、普通、右隻に春・夏、左隻に秋・冬の景色を、右から左へ変化するように描きます。
屏風は折り曲げられて、室内に置かれ、わたしたちは、畳に座った姿勢で見ることになります。 このとき、屏風の屈曲を生かした置き方で、絵に遠近感がでます。
「燕子花図屏風」(尾形光琳)では、正面から見たときには平面的に描かれた絵が、折り曲げて見ると、立体的に、リズムをつけて描かれているのがわかります。
参のツボ
飾り方で伝えるメッセージ
屏風を背景にして踊る、日本舞踊。
亡くなった人の枕元に逆さに立てて哀悼の意を示す「逆さ屏風」。
茶室で使われる「風炉先屏風」は、高さ70cmの背の低い屏風。 これは、亭主が茶をたてる「点前座」を仕切り、そこが、茶人にとって特別な場所であることを伝える役目を果たしています。 結界ですね。
使わないときは畳んでおいて、広げるとその場の空気を変える、それが「屏風」です。
次回2月1日の放送は、「和紙」

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