こうの史代『夕凪の街 桜の国』を読んだ。
Amazon.co.jp: 夕凪の街桜の国/こうの史代
今話題の映画の原作本です。 原作といっても100ページに満たない漫画です。でも、映画でも、小説でも、「長さ」じゃない。長くても短くても、何かを感じることができれば、見る価値。読む価値はある、というもの。
この本を手にしたのは、八月のお盆。映画も公開されていますが、まだ見ていません。この時期、6日の広島平和記念日から15日の終戦記念日にかけて、テレビや新聞などで、戦争や平和に関する特集を目にします。
でも、もの心ついた頃には、高度経済成長期だったわたしの周囲には、戦争の話をする親戚・知人もなく、「戦争」はどこか昔の出来事、他国の出来事なのです。逆に言えば、だからこそ、戦争に関する文章も冷静に読める、ように思いますが。
戦後生まれの漫画家が書いた「ヒロシマ」という話題性につられて、手にしたのですが、...
戦争や「ヒロシマ」のことよりも
「生まれる前
そう
あの時 わたしは
ふたりを見ていた
そして確かに
このふたりを選んで
生まれてこようと
決めたのだ」(93〜95ページ)
この文章にやられました。
自分の両親のことを、この両親のもとに生まれてきてよかったと思えることが、とても素敵なことだと思えてなりませんでした。
わたしは、お盆に、祖父母の位牌に手を合わせても、その時しか、祖父母のことを思うことはなく、
普段、同居している両親に感謝することもなく、
先祖とか過去とのつながりも感じられない日々をすごしているなあ、と思いました。
この家庭に生まれてよかった、とか、この家族でよかったとか、
自分の先祖、ルーツを自分で認めることができるとか、
そういうことがあるとないとでは、生きかたに違いがでるんじゃないだろうか。
自分は、いったいどうしてここに生きているのだろうか、ということを、も少し考えながら生きてみたらどうなのだろうか...なんていうことを、40年以上も生きてきて、今頃気づいたんかい?

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