NHKスペシャル『新シルクロード』総集編
昨年放送した60分番組10回分を、90分番組2回にして
25・26日2夜連続で放送 午後9時より10時30分
この番組は、
・ 遺跡・遺物等の紹介
・ 歴史的背景の解説
・ 最近の調査・研究の内容、CG復元
・ 現地の人々の暮らし
これら、4つの要素をたて糸、横糸として絡み合わせて、ひとつの番組を織り上げていくような構成が良かったのですが、総集編となるとハイライトシーンだけをつなぎ合わせただけで奥行きに欠けるのではないかと気になります。(まだ見る前の書き込み)
おもな内容
前編 〜 西安、敦煌、カラホト、青海、楼蘭
西安 永遠の都

西安郊外で発見された墓誌には、姓は「井」、字(名前)は「真成」、国号「日本」と刻まれている。 墓誌からは、若くして亡くなったこと、優秀な人材で皇帝もその死を惜しんだことなどが読み取れ、阿倍仲麻呂、吉備真備らと共に唐へ渡った遣唐使の一人と推測されている。 かつての西安にシルクロードの交易市場があったように、現在の西安では、国際的なショッピングゾーンを建設するプロジェクトが動き出している。
敦煌 石窟に死す

敦煌莫高窟の北区には、僧侶の修行や生活の場と思われる質素な窟が並ぶ。 南区の壁画を描いた名もない絵師たちは、どのような生活をしていたのか、また、どのような思いで壁画を描き続けていたのか。
カラホト 砂に消えた西夏

西夏王国のオアシス・カラホト(黒水城)はなぜ滅んだのか。 それには、川の流れが大きくかかわっているようだ。 そして、現在、農業新興のための大規模な河川改修が、牧草地を砂漠化し、遊牧民の生活を変えてしまっている。
青海 天空を行く

蘭州の西で河西回廊を南に迂回し、標高3千メートル級の青蔵高原を通って、タクラマカン砂漠へといたる、天空のシルクロード。 遺跡から大量のシルクが出土し、新たな謎を呼んでいる。 高原の塩水湖、青海湖の青さ、湧き上がる白い雲、草原に広がる黄色い菜の花。 唐から吐蕃へ嫁いだ皇女・文成公主。
楼蘭 四千年の眠り

天山南路と西域南道の分岐点、楼蘭。 紀元前1世紀前後の歴史に登場する、楼蘭王国、その領域の最西端にある、小河墓(しょうがぼ)遺跡。 この遺跡は、楼蘭故城よりも更に2千年遡り、約4千年前の太古の墓地であり、林立する胡楊の柱は墓標であり、その下には、数百体のミイラが眠っていることがわかってきた。 その発掘調査のさなか、ほぼ完全な形の棺が現われ、その中には、高い鼻、長いまつげの若い女性のミイラが、小麦の種子を携えていた。 この遺跡には、太古の民族移動と小麦栽培の伝播の謎を解く鍵が眠っているのかもしれない。
後編 〜 タクラマカン、カシュガル、トルファン、天山南路、草原の道
タクラマカン 西域のモナリザ

新疆ウイグル自治区ホータン、かつて玉(ぎょく)の交易で栄えた、ホータン王国があった。 1900年、イギリスの考古学者スタインによって発掘された、都ダンダンウイリクもその後、タクラマカンの砂に埋もれている。
カシュガル 千年の路地に詩が流れる

西域南道と天山南路が交差する「民族の十字路」カシュガル。 そこは、国を失った遊牧騎馬民族・ウイグル族のふるさと。 旧市街のひとつ、チャサー老城は、千年前にできた古い路地。 その路地には、ディラクエ(魂の叫び)というウイグル族の旋律が響く。
トルファン 灼熱の大画廊

火焔山の麓の熱砂の乾燥地、トルファンには、天山の雪解け水が潤いを与え、古くから干しブドウが特産品であった。 火焔山の麓にベゼクリク千仏洞がある。 6世紀頃から造営が始まり、11〜13世紀に最盛期を迎えた、ベゼクリクであったが、その後、イスラム教徒の侵攻によって破壊され、20世紀に入ってからは、列強の探検隊によって剥ぎ取られ持ち去られた。 その中でも、白眉といわれる第15号窟の「誓願図」がたどった数奇な運命とCG復元。
天山南路 ラピスラズリの輝き

天山の麓にあるオアシス、クチャを中心に栄えた亀茲(きじ)国は、仏教王国であった。 ギジル石窟には、天・空を意味する、ラピスラズリの青をふんだんに使って壁画が描かれている。 4世紀、亀茲国の王子として生まれた、鳩摩羅什(くまらじゅう)は、前秦によって、国を奪われ、囚われの身となり、その後、後秦の時代になって、長安における軟禁生活のなかで多数の仏教経典を漢語に翻訳していった。
草原の道 風の民

カザフスタン国境近くから発見された、黄金の装飾品と同じ特徴を持つ黄金の装飾品がユーラシア大陸の広い範囲で見つかっている。 そこには、カザフスタンからドナウ川流域にいたる、草原の道を移動していた、騎馬遊牧民の存在が認められる。 しかし、彼らが残した遺跡は、いまだ謎に包まれたままである。
(追記)
後編の諸地域は、今後の調査・研究を待たなければならないところが多いので、前編に比べたら見劣りするのは、しかたないかな。 「カシュガル」では、「ディラクエ」の紹介がなかったのと、踊り子の少女が取材班のインタヴューに答えて、「この町が好きだから」というようなことを話すシーンが出てこなかったのが、ちょっと残念。 あと、「天山南路」では、鳩摩羅什の後半生と思想に時間がとられて、ラピスラズリの壁画の紹介が短かったように思う。 「草原の道」でも黄金の装飾品が出てこなかった。
参考サイト
NHKスペシャル『新シルクロード』
(
上記サイトは、4月10日をもって終了となるそうです。)

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