ところが…ところが、次の朝猫のネーネ
ひょっこり帰ってきました。
「今日は出かけない方がいいよ。すごい雷雨になりそうだから。」
旅のお土産を届けに来てネーネがいいました。
タロは、青い空を見上げていましたが、自分のまうえに
浮かんでいるはいいろ雲を見つけました。タロは大雨で
びしょぬれになったことをおもいだして「ぜったいでかけないよ。」
といってネーネをおくりだしてタロは、あっとおもいだしました。
「たいへん!」
きょうはチコリが町へ行く日だった。(早くいって止めないと…)
タロはかさをつかむと家をとびだしました。(早くチコリを止めなきゃ!)
(早く早く!)
と気ばかりあせっていました。
けれど野原からへび道まではしって見上げると
はいいろ雲がしっかりついてきていました。
つり橋をわたりしばらく行って見上げると雲は
おくれずついてきていました。
タロは空を見ないことにして歩いていくことにしました。
緑牧場のさくにトンボが並んでいます。
(トンボにお天気なんかわかるもんか)
タロは急ぎました。イナの川の木の橋まで
きたとき空がかげりました。
(かものクルリは心配しなくていいね。)
橋をかけぬけて、ピカーツ!いなずまが走り大粒の雨
がおちました。
タロはかさをひらきました。
風がぴゅっとぱたぱたあおられタロがひっしでおさえていました。
ずぶぬれのタロは3本シラカバの下へかけこみました。
バリバリーッそれきりタロはわからなくなりました。
しばらくしてフッと気がついたぶたのタロはあたりがまぶしく
かがやいていたのです。またタロのそばにはきらきら
かがやく女の子が心配そうに立っていました。きれいな
女の子だったんだとタロは思いました。
「どうしてかみなりが鳴っているとき、外をあるくの。」
チコリがいいました。
「今日は買い物にいくから遊べないといったでしょう。」
「だからきたんだよう。」
「どうして大きな木の下に入るの。!」
「あぶないよ〜かみなりの時は。」
「チコリが家にいるか早く確かめたかったんだ。」
そういうとチコリが無事立っていてよかったと思いました。
「よかった!この木にかみなりおちなくて。」
チコリははじめて笑いました。
その時タロは思ったのです。
(よかったチコリがいて!よかったクルリがいて!
ネーネやルナがいて!)
明日ぐらい山のおみやげもってルナが帰ってくるかも
しれません。涼しくなるころ牛牧場からエイトもかえってくるでしょう。
((そうしたらチコリをしょうかいしよう。)
「この人僕の大事なぶたのチコリさん。」ってそんなふうに…)完

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