東京では「花見」のおそらく最後のチャンスとなった5日、6日の土日――各地でもあったのだろうが、わが家の近所でも3ケ所で「サクラまつり」が繰り広げられた。多くは、商工会議所が音頭をとったり、商店街の発案で行われているところが多いのだろうが、少し離れたところでは、住宅街の中をサクラ並木がトンネルをつくっている「遊歩道」で、近所の住民による手作りの「サクラまつり」を開催しているところがある。
散歩をかねて行ってみた。平場の舞台では、ちょうどオヤジバンドが懐かしのベンチャーズメロディを奏でていた。音にふくらみがあって、なかなかのものである。かってのエレキブームに少年の頃遭遇した者は、こうして齢を重ねてもテケテケテケと「ウォーク・ドント・ラン」、「パイプライン」、「ダイヤモンド・ヘッド」や「10番街の殺人」「キャラバン」などを賢明にコピーしながら研鑽を積み重ね4人組の基本編成で一緒に年を重ねていったのだろう。大量のビールをともに飲み干し、笑いあい、家族ぐるみのつきあいをし、メンバーの死をかなしみ、いたみそしてビール樽に負けないくらいのメタボな腹をかかえながら……。
格安の缶ビールを飲みながらその音を聞きながら、サクラを眺めているとそんな物語がわきあがってきてしまうのである。
曲がスプートニクスの「霧のカレリア」に変わった頃にすこし風がでてきたのか、並木のサクラは一斉に花びらを舞わせ、サクラ吹雪の様相となっていた。
今季、ボクが一番サクラ(ソメイヨシノ)を堪能したのはこの場所かも知れなかった。

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