昨日(24日)、横浜ARTBANKでとりおこなった「即興ポエトリー・パフォーマンス/瀧口修造・叫びと囁き」はおおむね好評であるようだった。
この9月28日からはじまる横浜トリエンナーレの応援企画『Yokohama Complex ART LABO 2005』としてElementが主催しているもので(28日まで)旧日本郵船の倉庫跡であるARTBANKをギャラリーとして複数の作家が展示する作品に、音楽・舞踏・ダンサーなどがからみ日替わりで繰り広げられる饗宴である。
そこに、ポエトリー・パフォーマーとして出演した。
24日はTAGUCHIという音響集団が、会場に仕掛けたオブジェ的なスピーカーから流れるアンビエントな音に終始つつまれている。そこに川端浩史さんの暗黒舞踏、黒田オサムさんのホイト芸、谷川まりさんの風船パフォーマンス、川崎毅さんの朗読、そしてボクのポエトリー・パフォーマンスがアートとコラボレーションしながら展開した。
都合3回ほどのパフォーマンスを行った。15:00、18:00そして20:00からのセッションとしてだ。
『瀧口修造・叫びと囁き』は詩人にして、美術評論家ときにはコラージュ作家でもあった瀧口修造の残されたテキストをその死せる、凝固した活字から解き放つ試みである。そのテキストにボクの「神話」をテーマにしたポエムをとりまぜ、顔は白塗り、黒の背広の姿で瀧口修造になるというパフォーマンスである。
あとで、ボクの名前が「瀧口修造」かと思った人がいるらしく、なるほどと思ったが、あの場ではボクは「瀧口修造」だった。
ボクは実は、この元日本郵船倉庫のこの建物を見た時からここの反響をためしたくてしかたがなかった。いや、すばらしい音の反響で声は逃げずにまっすぐに鳴り響きます。うれしかったです。しかし、汗びっしょりになりました。
パフォーマンスをしていて愉快だったのは、入り口近くのスペースに紙で形作ったひとがたを展示している高橋理加さんの作品とからむ場面だった。ボクは吉田町の「アート&ジャズ・フェスティバル」というストリートでのお祭りがあった時(野毛の大道芸フェスと同日)、高橋さんのハリボテの赤子に遭遇して以来のファンでもあります。
高橋さんの宙に吊り下げられた面の裏には、仏典やコーランや聖書からの引用が刻印されてあって、それもまたポエトリーの材料になっていくのでありました。
あとで、白塗をおとして着替えて休んでいるとさきほどのパフォーマンスの人物とは別人に思われてまいりました。しかし、数人から声をかけられ素晴らしかった、面白かったとのお言葉をいただきました。
個人的には20:00からのセッションタイムも面白かったのです。というのも横浜の悪ガキ代表セブンが駆けつけてくれ、セブンのギター、27日にヴォイス・アンサンブルをここでやる藤村匠さんのドラム、春田祐介くんのパーカッション、そこにほとんどひとりで切りまわしている事務局のガンジーさんがサックス。そこに最初、黒田さんがホイトの振りでからみ、入るタイミングをはかっていたボクが(もう私服です)ポエトリーで即興したのが、いまタイトルを付けるとすれば「ひかりごけ――カーニバルと人肉食い(カニバリズム)」とでも名付けたいなんだか終戦60年めにふさわしいポエムとなったのです(このフレーズでいつだったか、MCで笑いをとりましたね(笑)。そうそう横浜の詩人川崎さんも最期には日本兵のようにバタッと倒れてからんでくれました(!))。
なかなかに熱い夜となりましたが、横浜からの帰りはつらかったです。
最期にワークショップで三角形のパネルに5分で描いてしまったボクの作品からの一句。
荒波や! マルキ・ド・サドと ハマのうみ
※「うみ」は平仮名で、「海」、「産み」、「膿」の意味を多義的にもたせました。
(写真はART BANKでの「瀧口修造さん」(笑))

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