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どうも、こんにちは。
毎年、5月連休に
“千本えんま堂”こと京都・引接寺で行われる「千本えんま堂大念仏狂言」。
第484回から
前回まで、「千本えんま堂狂言」の演目を、特に妖怪や幻想生物などが登場する演目を紹介してきましたが。
今回は、毎年行われる「千本えんま堂狂言」で必ず最終日の最後に行われる演目を紹介します。毎年必ず最初に行われる演目『えんま庁』(※
第348回を参照)と共に、おそらく最重要演目であり、布教・宣伝の為という「えんま堂念仏狂言」本来の性質を残したものでしょう。
“千本えんま堂”こと引接寺が、
小野篁によって開基され、それから後世の寛仁元(1017)年、藤原道長の後援を得た比叡山・恵心僧都源信の弟子・定覚上人が、ここを「諸人化導引接仏道」の道場とすべく「光明山歓喜院引接寺」と命名し、仏教寺院として開山して現在に至ります。
上覚上人の時代、この千本えんま堂があった付近は、京都の葬送地のひとつであり、非常に淋しい場所でした。その為、盗賊などの犯罪者が跋扈する危険な場所でもありました。
そこで上覚上人は、藤原道長から遣わされた役人・源為朝に盗賊討伐に当たらせます。
為朝は千人以上の悪人や犯罪者を相手に金剛杖で挑みますが。
為朝に金剛杖で打たれた悪人は、次々と良心を取り戻し、しかも持病まで治ってしまいました。
これもご本尊・えんま王(=地蔵菩薩)のご加護であると、この奇跡と功徳を伝えるのがこの演目です。