貴船編第5話です。
今回は、貴船神社の本宮より少し山奥に行った場所にある末社「結社(ゆいのやしろ)」についてとりあげます。
この結社は「縁結び」についてご利益があると言われています。
祭神は、磐長姫命(いわながひめのみこと)という女神です。
磐長姫といえば、日本の「天孫降臨」神話にふられ役として登場する女神です。
天照大神(アマテラスオオミカミ)の命により、葦原中国を統治するため高天原から地上に降りた天孫・ニニギは、大山祇神(オオヤマツミ)の美しい娘・木花開耶姫(コノハナノサクヤヒメ)と出逢い、求婚します。
父・大山祇神は、木花開耶姫とその姉・磐長姫を共に差し出します。しかし磐長姫の方は、妹とは違ってブスでした。そのためニニギは磐長姫を送り返して、木花開耶姫とだけ結婚しました。
大山祇神は次のように言います。
「私が娘二人を一緒に差し上げたのは、磐長姫を妻にすればあなた方天津神の御子の寿命は岩のように永遠のものとなり、木花開耶姫を妻にすれば花が咲くように繁栄するだろうと、誓約を立てたからなのに、おわかりいただけずに残念です。あなた方のお命は、花のようにはかないものとなるでしょう」
それ以来、その子孫である天皇家や日本人の寿命も、神々に及ばない短いものになってしまった。
確か、だいたいそんな話だったと記憶しています。
さて、ふられた方の磐長姫はその後どうなったかというと、「我長くここにありて縁結びの神として世人のために良縁を得させん」と、ここ貴船に鎮座したと伝えられています。
その磐長姫を祀ったのが、「結社」です。
「本宮」→「奥宮」→「結社」の順で参拝する「三社詣」が、古くから盛んに行われているそうです。
また、あの和泉式部も夫・藤原保昌との関係がうまくいかずに思い悩んでいた頃、貴船に参拝を訪れて読んだ時の歌碑。そして、貴船の神様から返歌をもらったなどという伝説も遺されています。