前回(第4回)からの続きである。
何故、エリートでも勝ち組でもない多くの若者たちが、小泉自民党を支持したか? まんまと騙されて、小泉構造改革(=新自由主義、市場原理主義)という、実は自分たちの不利益になる選択をしてしまった理由は何なのか?
その理由として、前回私は「日本の若者たちが抱える3つの弱さ」をあげた。
前回(第4回)はひとつ目「社会と自分自身に対する無知」についてまで述べた。今回は、2つ目「自分を見つめられない弱さ」について述べる。
「(エリートや勝ち組でもないのに)小泉自民党と小泉構造改革路線を支持した人たちは、IQが低くて世間知らず」とよく言われる。
ネットで、特に我々のような反小泉の言説を展開する者たちの間では、「B層」
(注1)という「小泉政権を支持するIQも社会的地位も低い人々」を表現する言葉も流行した。
失礼を承知・覚悟の上で言わせてもらうと、この見方はかなりの程度当たっていると思う。だがその一方で、それだけでは、やや不十分ではないか、とも思う。
この世のあらゆる詐術がそうであるように、必ずしも「教養や学歴のある人間が騙されにくい」というわけではない。それは、騙される側が持つ「心の隙(弱さ)」につけ込む場合も多いからだ。というより、現実世界で行われている詐欺の多くは、「IQや教養の低さ」よりも、「心の隙」につけ込むケースの方が、おそらくは多い。高いIQと教養、社会的地位まである(はずの)人たちまでが、あっさりと詐欺の被害者となるという事件が起こるのもそのためだ。
「小泉新自由主義路線に対する幻想を振りまく」という詐術に関しても例外ではない。では、この場合の「付け入られる心の隙(弱さ)」とは何か? それこそが今回述べる「自分を見つめられない弱さ」と、次回以降に述べる「他者と社会に対する想像力の欠落」である。