「熊野・滝尻王子と清姫巫女伝承 @ 京都妖怪探訪(629)」
妖怪スポット
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どうも、こんにちは。
今回も紀州の
清姫伝説の地を巡るシリーズです。
今回は、
シリーズ前回から清姫実家の菩提寺
一願寺を訪れ、さらにそこで、清姫の故郷・真砂(まさご)に伝わっているという、通説とは違うもうひとつの「安珍・清姫物語」を目にすることができました。
さて、ここで。
シリーズ前回で観た「もうひとつの安珍・清姫物語」を思い出していただきたい。まだ
前回を読んで居られない方は、併せて読んでいただきたいのですが。
そこには、通常伝えられているものとはまた違った清姫の人物像が。
あまり知られていなかった清姫の顔も見られました。
そのひとつが……清姫が滝尻王子の神子(巫女)としての清姫像です。
熊野御坐神社(現・本宮大社)の神官を祖とする家系に生まれ、神聖なる少女として見られていた清姫の姿です。
実を言いますと当初、今回の
清姫伝説の地を巡りには、滝尻王子を訪れる予定は入れてはなかったのですが。
しかし
一願寺で「清姫は滝尻王子の神子(巫女)だった」というこの絵を見て、少し考えが変わりました。
一願寺を後にし、再び龍神バス「清姫」停留所に。
実はこの時点でも、予定を変更して滝尻王子に行くかどうか、少し迷っていました。
当初はこのバスでJR「紀伊田辺」駅に戻り、JR紀勢本線(きのくに線)で「道成寺」駅を目指す予定でしたが。
その反対方向、熊野本宮大社方面に「真砂(まさご)」「滝尻」とバス停2つ乗り継げば、行けます。
行けなくは無いかもしれませんが、さらに何時間かを費やすことになる。
直前までどうしようか迷っていましたが……。
次に来るバスが、熊野本宮大社方面行きならそれに乗って滝尻王子へ。紀伊田辺方面行きなら当初の予定通りにこのままJR線に乗って道成寺を目指そうと思いました。
その直後に来たバスが本宮行きでしたので、滝尻王子を訪れることにしました。
まあ、無計画で行き当たりばったりである私の性格はいつものことですが……。
バスで「清姫」から「滝尻」停留所まではすぐでした。
ここは富田川と石船川の合流地点であり、国道311号線沿いのバス停から橋を渡ったところに、滝尻王子と
熊野古道館があります。
この「熊野古道館」には、中辺路や熊野古道などに関する資料展示の他、土産物や山歩きの用具まで売っていました。
熊除けのベルまで売ってあったので、「えっ、この辺りは熊も出るのか?」と驚いたものですが、急な激しい雨が降り始めた中、
モンベルの防水機能付き帽子も売ってあったのが助かりました。
この時買った帽子は、現在でも愛用しています。
……っと、また話が本題からそれましたが、滝尻王子の境内へ。
おや?
よく見ると中に小さなカフェみたいな場所が。
「滝尻茶屋」とあります。
神社の境内でカフェ、しかもハンバーガーとは、ホンマかいな、と怪訝に思いましたが。
豆腐ソースとトマト、白菜のお漬け物を使ったハンバーガー、「美峰(びほう)バーガー」。
肉を使わないハンバーガーとはいかにも神社のカフェらしいですが、そんなもん美味しいのだろうか、と半信半疑ながらも食べてみました。
これが何と、結構いける!
大食らいな私からすれば、少しボリューム感に欠ける気もしますが、健康志向の人にならこういうのもいいかもしれません。
ところでここを訪れたのが、昨年の9月でした。
現在でもこのカフェ、営業しているのでしょうか?
バーガーを食べた後は境内散策へ。
境内から観た富田川の光景。
紅葉の時期に訪れるのもいいかもしれません。
案内板を読んでみます。
明治期に村内の神社を合祀し、現在では正式名称を「滝尻王子宮十郷神社」というそうです。
ここは、熊野の神域への入り口、境目とされ、熊野九十九王子の中でも特に格式の高い五体王子のひとつとされています。
前回記事で観た、一願寺と周辺地域に伝わっていた「もうひとつの安珍・清姫物語」によれば。
清姫とその父・清重の家系は、熊野の神官の末裔であり、このような非常に重要な意味を持つ霊場を任されていた、ということになります。
その家系に生まれた神子(巫女)でもあった清姫は、一願寺で描かれていた伝承の通り、特別に神聖視されていた存在であったのでは、と思われます。
境内をさらに散策。
案内板にも書いてありましたが、ここでは古くから、巫女による神楽舞などの芸能も行われてきたようです。
この神社の巫女も務めていたという清姫も、かつてはここで神事に従事し、神楽などを舞っていたのであろう。
その姿はどんなものであっただろうか、などと想像してしまいます。
本殿へ礼拝し、この古社を後にします。
そして、その日のうちに、「安珍清姫」伝説の最後の舞台、道成寺を訪れようと、慌ただしく出発します。
でも、次回訪れる時は、もっと時間的余裕のある計画を立てて、熊野古道や今回訪れられなかった清姫伝説・伝承地なども巡りたいと思います。
それでは、今回はここまで。
また次回も、紀州の
清姫伝説の地を巡るシリーズの記事です。
*滝尻王子へのアクセスは
こちらを参照(
「わかやま観光情報」より)。
*『京都妖怪探訪』シリーズまとめページ(新)
https://kyotoyokai.jp/
*『京都妖怪探訪』シリーズまとめページ(旧)
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
