2008/2/9

両手に花  プロ将棋鑑賞会

本日、2月9日東京都千代田区「有楽町マリオン」において
第1回朝日杯将棋オープン戦の決勝戦が行われた。

1982年に始まった「全日本プロトーナメント」から「朝日オープン選手権」を経て
名人戦移管騒動の落とし子(?)として生まれ変わった「朝日杯将棋オープン戦」。
そのリニューアルに伴い、将棋界としては新しい試みが導入されている。

・ 持ち時間40分(チェスクロック使用) 〜 切れたら一分将棋

・ 将棋界初の椅子での対局

・ 短時間の対局の為、午前と午後に対局を消化する

・ 公開対局


そして準決勝の
「阿久津主税六段 − 行方尚史八段」と「羽生善治二冠 − 丸山忠久九段」の2局が
この日の午前10時30分から行われた。

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その結果、午後2時30分より準決勝を勝ち抜いた両者によって
決勝戦が行われた。

「行方尚史八段」VS「丸山忠久九段」

両者の対戦成績は、丸山九段が10勝3敗と大きく勝ち越している。
しかし行方八段もここを勝つことで、初代王者の栄誉と
通算400勝を達成出来るとあって、簡単に引き下がる訳にはいかない。
注目の戦型は、後手丸山九段の誘導で変則的な角換りへと進展した。

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上図は、後手が△5四歩としたところ。
銀は動けないので、行方八段は▲4五桂から細い攻めを繋いでいく。
それに対して丸山九段は駒得を主張するように、持ち前の受けを前面に推し出す。
行方八段は丸山九段の押さえ込みを掻い潜り、巧みに勝利を手繰り寄せた。

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午後4時36分、総手数95手。
丸山九段は先手の▲7三角を見て、戦意喪失の投了となった。

これで前述の通り、行方八段にとっては
全棋士参加棋戦の初優勝と通算400勝で、両手に花となった。
また行方八段は、今期A級入り(残念ながら1期で陥落)も果たし
周囲の高い評価に、実績がようやく伴って来たようだ。
これからはトーナメント覇者として、周囲からのチェックも更に厳しくなるだろうが
一層の飛躍を期待したい。
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2008/2/7

ようやく一矢  プロ将棋鑑賞会

2月6日・7日と、静岡県浜松市の「ホテル九重」において
第57期王将戦第3局が行われた。

「久保利明八段(0勝2敗)」VS「羽生善治王将(2勝0敗)」

なかなか初日を出す事が出来ない、久保八段。
一発勝負ならまだしも、番勝負となると羽生一流の勝負術の前になす術がないのか。
後手番のエース、ゴキゲン中飛車を完膚なきまで粉砕されてしまっては
もはや頼みの綱は、先手四間飛車のみ。
羽生王将も、2連勝の余裕からか相振飛車にはせず
居飛車穴熊模様に、局面を進める。
・・・となれば、久保八段得意の藤井システムの登場である。

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図の△7二飛が後手の工夫の手だが、この瞬間が怖いところだ。
しかし久保八段は大事をとって、▲7八飛
振飛車の心得、「飛車には飛車で対抗」である。
すると6筋の脅威がなくなった為、羽生王将は念願の穴熊に潜ることに成功した。
この辺りで、両者の駆け引きが頂点に達したのであろう。
穴熊に潜ってホッとする間もなく、久保八段が猛攻を仕掛けた。
それに対して、珍しく羽生王将に判断ミスがあり
これ以降は「久保の攻め・羽生の受け」がハッキリしてしまった。

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執拗な攻めで、穴熊を攻略しようとする久保八段。
それに対して、攻めが一息ついた間隙を縫って反撃を試みる羽生王将。
しかし、久保八段は綺麗に間合いを見切っていた。

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午後5時56分、総手数111手。
先手玉は詰まず後手玉は詰めろでは、投了も止むを得ない。

これで、ようやく片目が開いた久保八段。
この勝利をキッカケに、星を五分に戻す事が出来るのだろうか。
私の予想では、後手番の次局は意地のゴキゲン中飛車を採用すると思うのだが・・・。
一方、この1敗では痛くも痒くもない羽生王将にとっては
戦型選択の権利があり、優位は否めない。
しかし一週間後には、佐藤康光棋王に挑戦する棋王戦も始まる為
そうユトリがあるわけでもなかろう。
そう、久保八段にとって次局が、運命の分かれ道なのである。

注目の第4局
2月19・20日に、島根県大田市の「さんべ荘」で行われる。
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2008/1/25

飽くなき挑戦  プロ将棋鑑賞会

1月24日・25日と、滋賀県彦根市の「彦根プリンスホテル」において
第57期王将戦第2局が行われた。

「羽生善治王将(1勝0敗)」VS「久保利明八段(0勝1敗)」

番勝負の勝負術は数々語られども、やはり先勝した方が有利なのは自明の理。
その辺りを心得ている羽生王将は、流石に手堅く1勝を挙げた。
しかも相手の得意戦法を叩いて、ダメージを与えながら・・・。
一方、2日制のタイトル戦に初挑戦の久保八段は、このペースに慣れただろうか?
後手番の本局は予想された通り、ゴキゲン中飛車を採用した。
羽生王将の▲5八金右は、超急戦への誘いで
久保八段も避けずに、激しい戦いへ突入した。
久保八段は昨年、超急戦を3局指しているが全敗している。
その全ては24手目△4四銀だったが
本局は、佐藤(康)新手△5四歩を採用した。

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しかし、その佐藤新手に対して羽生王将は
▲6三桂成から▲9六角を用意していた。
この手に対して大長考の末、久保八段は△7四歩と受けたが
この手を境に、先手有利に形勢が傾いていった。
もしかすると、この▲9六角が佐藤新手対策の決定版になるかもしれない。

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羽生王将は上から抑え付ける様な寄せで、優勢を拡大していく。
上図の▲8八桂が勝ちを決めた一手で、唯一の守り駒を攻めるのが
この場合早い寄せになる。
あとは、羽生王将の手堅い寄せを見るばかりとなった。

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午後4時24分、総手数93手。
▲8五銀以下は、簡単な詰みとなる。

久保八段にとっては、星以上に痛い敗戦となってしまった。
というのも、ゴキゲン中飛車を後手番のエースにおいている以上
超急戦を挑まれれば、避けるわけにはいかないからだ。
そして相手の得意を叩く羽生一流の勝負術によって、すっかり羽生ペースと
なってしまった。
久保八段がそのペースを乱すには、次の第3局に勝つ他はない。

注目の第3局
2月6・7日に、静岡県浜松市の「ホテル九重」で行われる。
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2008/1/18

攻めと責め  プロ将棋鑑賞会

1月17日・18日と、栃木県大田原市の「ホテル花月」において
第57期王将戦第1局が行われた。

「久保利明八段(0勝0敗)」VS「羽生善治王将(0勝0敗)」

王将戦に初登場の久保八段は、タイトル戦に登場がこれで4度目となる。
過去3回全てが羽生王将への挑戦となっていて、ことごとく撥ね返されているが
初の二日制のタイトル戦で、新境地を開く事が出来るか。
対する羽生王将は前期、佐藤康光二冠を退け永世王将位を獲得した。
三冠から二冠とタイトルを減らしたものの、今年は順位戦が好調でトップを走り
依然として衰えは感じられない。
注目の対局は、相振飛車で幕を開けた。

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上図は、後手が△2六歩と飛先の交換を目指したところ。
普通に応対するならば▲同歩であるが、久保八段は強気にこの手を咎めにかかった。
攻めの基本は敵本陣の攻略にあるが、場合によっては敵の攻撃陣に
攻撃を加えた方が効率がいいこともある。
これを「責め」というが、相振飛車の場合はこのケースが多い。

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上図は先手の▲2五歩に、4四にいた銀を△3五銀とぶつけ
際どく攻めを繋いだところ。
ここが、勝負の分かれ道であった。
先手陣だけ、一方的に終盤戦のようになってしまったが
ここは唯一「責め」を継続する一手があったのだ。
残念ながら久保八段は▲4五金とした為、△3三桂の強手を浴び
敗勢になってしまった。
しかし、ここは▲3七金が成立し、以下△3六歩▲2六金とすると
歩切れの後手は困っていた。
これ以降は羽生王将が手堅く指して、防衛への一歩を踏み出した。

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午後6時37分、総手数96手。
△2四歩で金が死んでしまっては、久保八段もなす術がない。

久保八段も構想自体は成立していたのだが、自身の指した失着でふいにしたのは
勿体無かった。
後手番となる次局は、ゴキゲン中飛車が予想されるが
羽生王将の対策にも興味が沸く。
注目の第2局
1月24・25日に、滋賀県彦根市の「彦根プリンスホテル」で行われる。
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2007/12/13

偉業達成!  プロ将棋鑑賞会

12月12日・13日静岡県伊豆市の「玉樟園新井」において
第20期竜王戦第6局が行われた。

「渡辺 明竜王(3勝2敗)」VS「佐藤康光二冠(2勝3敗)」

前局でカド番を一つ凌いだ佐藤二冠、この第6局もカド番でホッとする間もない。
対して渡辺竜王は、防衛を果たすと前人未到の4連覇となる。
渡辺竜王が先手の本局も、両者力が入る相矢倉が予想されたが
周囲の意に反して、タイトル戦では前例が少ない相中飛車となった。

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タイトル戦どころか、プロでもあまり見掛けない珍しい将棋の出現で
アマチュアの縁台将棋を髣髴とさせる(笑)。
若干、5筋の位を取っている先手の方が模様が取り易いとは云え
均衡が保たれているため、仕掛けが難しい将棋となった。
仕掛けが難しいとは云え、やはり先に手を出したのは佐藤二冠の方だった。
後手は4筋から攻勢を取り、先手も端と7筋を絡め反撃に出て
足を止めての殴り合いに突入した。

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上図は、後手が△3六桂と3筋をこじ開けようとしたところ。
しかし、これは指し過ぎのきらいがあり
先手は手に乗って受けているうちに、鉄壁の要塞が出来上がってしまった。
鉄壁の要塞を築いた渡辺竜王は、後は寄せに専念するのみ。
着実に寄せの網を絞って、佐藤二冠を投了へと追い込んだ。

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午後7時28分、総手数135手。
佐藤二冠の投了をもって、今期の竜王戦が終了した。

流石に渡辺竜王は、竜王戦では無類の強さを発揮するものと感心してしまう。
これで竜王戦4連覇、前人未到の記録である。
更に来期も防衛を果たすと、連続5期ということで
「永世竜王」の称号も手にする事になる。
渡辺竜王に、竜王戦以外の活躍を期待しているのは、私だけではないだろう。
しかし、感想戦では双方の読みに食い違いがあるようだが
将棋自体はガッチリ歯車が噛み合っているようで
観ている側としては内容が面白い。
新しい「名勝負数え歌」として、コチラも是非期待したい。
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