2009/6/7

歩の手筋(4)  ゼロからの将棋初級講座

前回は、初心者の実戦に現れやすい「角」を狙う
「歩の手筋」を解説しました。
しかし、それは仕掛けた方が悪くなるという、要注意の展開でした。
今回は、そんな実戦では実現しない展開を含みにしながら
その後は、どうやって指していくのかを見ていきましょう。

それではもう一度、【例題−4図】を見てみましょう。

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ここですぐに「角」を狙う、▲2四歩が成立しないのは
前回に解説した通りです。
しかしマゴマゴしていると、逆に後手に「角」を狙われてしまいます。
そこで考えられる、先手の手は4通り。

(1) ▲2六飛 ・・・飛車で「角」の頭を守る。
(2) ▲9六歩 ・・・「角」の自由度を広くする。
(3) ▲7六歩 ・・・(2)と同じ考え。
(4) ▲7八金 ・・・「角」の頭は「金」でしっかり守る。

それでは、順番に検証してみましょう。

(1)の場合 ・・・ ▲2六飛

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この手は、後手の狙いの△8六歩(▲同歩と取れる)を封じています。
しかし、△8六歩は封じることが出来ても
自分の方からも▲2四歩とは行けなくなっています。
というのも、先手の飛車が6段目から動くと
後手に△8六歩が生じてしまうからです。
これでは、一時的に「角」を守っただけで
利口な指し方とは云えません。

有効度・・・20ポイント

(2)の場合 ・・・ ▲9六歩

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この手は▲9七角の余地を作っただけで
直接は「角」の頭を守っていません。
しかし、△8六歩の牽制には有効な手段となります。
それでは、その後の進行を見てみましょう。

【検証−2図】から

△8六歩 ▲同歩 △同飛 ▲2四歩 △同歩 ▲2三歩  
【検証−2a図】


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▲2三歩までは、前回解説した通りです。
ここで後手も、お返しとばかりに「角」を取りに行きますが・・・。

【検証−2a図】から

△8七歩 ▲9七角  【検証−2b図】

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ここに来て、ようやく後手も事の重大さに気付きますが
時すでに遅しで、「角」の丸損となってしまいました。
▲9六歩は、かなり有効な手段であるのは確かですが
後手に▲2三歩の筋を消してから、△8六歩とされると
今度は△8七飛成の手を受けなければならず
イマイチの感は否めません。

有効度・・・50ポイント

(3)の場合 ・・・ ▲7六歩

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この手の意味は、(2)▲9六歩とほぼ同じですが
「角」を有効に使うという点では、コチラの方が勝っています。
(▲9六歩の1マスに対し、▲7六歩は5マス移動出来る)
そして△8六歩を牽制しているのは、▲9六歩と同様です。
さて先手の▲7六歩に対して
後手は(A)△3二金か、(B)△3四歩と指すことになります。

(A)3二金は、先手にいつでも狙われている▲2三歩を防いだ手。
(B)3四歩は、先手同様「角」の自由度を高める手。

(A)△3二金の場合

▲7七角  【検証−3a図】

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△3二金には、▲7七角がピッタリの手で
後手の狙いを封じつつ、▲2四歩の狙いも残しています。
以下は、△3四歩▲8八銀と進行しますが
変化が難しくなるので、今回は割愛します。

(B)△3四歩の場合 ・・・ 【検証−3b図】

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【検証−3b図】は、先手後手全くの同型となりました。
しかし、この局面はプロでも難しい局面で、常に乱戦の恐れがあり
余程、腕に自信がある人以外はあまりお勧めしません。
定跡の勉強や研究が、物を云う局面なのです。
ちなみに△3四歩に対しては、▲7八金(一番指されている)や
▲2四歩などが多いようです。

有効度・・・80ポイント

(4)の場合 ・・・ ▲7八金

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▲7八金は、「角」の頭を守り
「今度は▲2四歩と行くよ」という意味です。
それに対して後手も、(3)の場合を応用して
△1四歩△3四歩では、▲2四歩と指されて
更に▲2三飛成の手を受けるのでは、何をやっているのかわかりません。
とすれば、△3二金と受けるのが必然となってきます。
・・・ 【検証−4a図】

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ここから先手は当初の目的通り、飛車先の「歩」の交換をします。

【検証−4a図】から

▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △2三歩 ▲2六飛  
【検証−4b図】


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▲2六飛と引くところでは、▲2八飛と引いて指す
プロで最近流行している手もあるところです。
しかし、プロが好む手は含みが多過ぎて
アマチュアには、理解し難いところがあります。
ここは無難に、▲2六飛と引いておきましょう。
現在▲2八飛が流行しているとは云え、以前はこの局面が
プロの主流だった一石四鳥の手なのですから。

【▲2六飛の効果】とは

(1)一歩を手持ちに出来た。
(2)飛車先の歩を消した(持ち駒にする)事によって
   後手の△3二金が動けなくなった(▲2三飛成がある)。
(3)▲2六飛と中段に構えることで、飛車の自由度が上がった。
(4)手順に、後手の△8六歩を防いでいる。

有効度・・・100ポイント

このように、プロやアマチュアで実戦例が多い【検証−4b図】までの
指し手の中に、前回解説した手筋が含まれているということが
実感出来たのではないでしょうか。
実戦上には現れない手筋というのは、沢山ありますが
何かの拍子(敵の過失によって)で盤上に現れて
「一局を制する」という例も多々あります。
手筋を沢山覚えて、その時が来るのを待ちましょう(笑)。
ちなみに今回、有効度をポイントで表しましたが、低ポイントだから
と云って、実戦では使えないということではありませんよ。
皆さんの棋力が上がってくれば、これらの手も使いこなせるようになりますから。
次回は、更に有効度の高い「歩の手筋」を解説しましょう。

それでは、次回をお楽しみに!!
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2009/3/14

歩の手筋(3)  ゼロからの将棋初級講座

「手筋」の解説となると、部分図を使うことが多くなりますが
イマイチどのような場面で使えるのか、ピンとこないかもしれませんね。
・・・ということで、今回は今までとは目先を変えて
「こういう場面で手筋が使えますよ」という形式で、解説したいと思います。

まずは初心者同士だと、最初はこんな風に進むケースが多いようです。

初手から

▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩   【例題−4図】

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先手が飛車先を伸ばせば、後手も負けじと飛車先を伸ばします。
すると・・・、こんな局面が出現します。

さて、ここで先手が初志貫徹と▲2四歩といくとどうなるか?

【例題−4図】から

▲2四歩 △同歩 ▲同飛   【参考−A図】

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第94話で登場した、【例題−2図】のような局面となり
先手成功を思わせます。

ここで後手の手番ですが、どう指すべきでしょうか?
盤面を反対に表示しますので、みなさんも考えてみて下さい。

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(便宜上先後逆)

図を見ての通り、黙って△8七歩を打たせてはいけません。
この局面での考え方は2通り。

「角」の頭を守るのか?
それとも、こちらも強気に攻めるのか?

変化を解説すると難しくなるので、結論から云いますと
この場合は、後者が正解です。
・・・というのも、この局面は先手(実際は後手ですが)が良くなるからです。
では、どうするのか。
正解を見てみましょう。

【先後入替−A図】から

▲2四歩 △同歩 ▲2三歩  【解答−4図】

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(便宜上先後逆)

先に手を出した筈の後手が、先に「角」を捕られてしまいました。
これで先手がいいのですが、まだ皆さんは
「△8七歩と打てば、角を取り返せるのでは・・・」と思いますよね。
それでは、もうちょっとだけ先に進めてみましょう。

【解答−4図】から

△8七歩 ▲2二歩成 △同銀 ▲7五角  【変化−4図】

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(便宜上先後逆)

後手も「角」は取り返せますが
▲5三角成と先手だけ「馬」を作ることが出来ては
どちらが優勢かは、明白だと思います。

こんな風に、実戦で「角」を狙う「歩の手筋」が登場します。
この手筋を知っているのと知らないのとでは、雲泥の差ですね。
次回は【例題−4図】の局面を、もう少し掘り下げてみましょう。

それでは、次回をお楽しみに!!
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2009/2/8

歩の手筋(2)  ゼロからの将棋初級講座

前回の終わりに出題してあった「意地悪な質問」、わかりましたか?
質問の内容も漠然としていたし、イマイチ答えを出し難かったかもしれませんね。

答えを導き出すポイントは、ヒントにも出した「取った相手の駒」です。
次の図を見て下さい。

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これは「取った相手の駒」の利きを表した図です。
これで、ようやくわかりましたか?

そうなんです。
この2つの駒は特殊な動きをする代わりに、自分の目の前に進めない駒なのです。
(ちなみに、他の駒は全て前に進めます)
このように自分の前に進めない駒の事を、「頭の丸い駒」と呼びます。
「頭の丸い駒」は、自分の目の前に相手の駒が迫ってきても(例え歩であっても)
自分を守ることが出来ません。
これは前回の例題で、実証済みですね。
また敵の弱点を攻める事が勝負の鉄則ですので、この場合「頭の丸い駒」の頭が
攻めの糸口になるということが多いようです。
逆を云えば、この辺をうまくカバーすれば、容易に攻められたりはしないと云うことです。
ちょっと話が難しくなりましたが、「歩」と云えども「角・桂」相手なら
うまく戦果を挙げることが出来るということです。

それでは、次に進みましょう。
次の例題図を見て下さい。

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前回の例題−1図と似たような図ですが、今度は「桂」の頭を「銀」が守っていますね。
その代り、先手の持ち駒が「歩」2枚に増えています。
一見、手の出しようがないようですが、これも「手筋」を駆使すれば戦果を得られます。
それでは、どの駒を狙うかということになりますが
やはりここでも、「頭の丸い駒」はターゲットとしては最適なのです。
どのようにするのか、見てみましょう。

まず▲3二歩と、目障りな「銀」にどいてもらいましょう。

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これに対して△同銀△4二銀は、▲2二歩で大成功ですね。

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これではダメなので、後手は△2二銀と逃げます。

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そこで更に▲2三歩と、「銀」に働き掛けます。

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これは△同銀と取るよりありませんが、▲3一歩成で大成功です。

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▲3二歩▲2三歩「銀」取りに打った「歩」「叩きの歩」と呼んでいます。
この「叩きの歩」の手筋で、見事に「銀」が無力になるように誘導して
「桂」得の戦果を得ることに成功しました。
これが手筋の威力なのです。

次回からは、もっと色々な「歩の手筋」を解説していきましょう。

それでは、次回をお楽しみに!!
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2009/1/28

歩の手筋(1)  ゼロからの将棋初級講座

それでは今回から、「歩の手筋」を勉強していきましょう。
そして他のどの駒よりも、念入りに解説をしたいと思っています。
・・・と云うのも、「1円を笑うもの、1円に泣く」ではありませんが
将棋というゲームは、「歩」をどれだけうまく使うかによって
勝敗が決すると云っても、過言ではありません。
また「歩の手筋」と云っても、「歩」単独のものばかりではなく
他の駒と連携しての物の方が、多いようです。

それでは早速、参りましょう。

まずは、相手の駒を取る「歩」の使い方です。
次の例題図を見て下さい。

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「歩」で「歩」より価値の高い駒を取るのは、至上の快感です(笑)。
これは解説がなくても、わかりますよね。

そう、▲2二歩が正解です。

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これは無傷(打った歩を取られることなく)で、相手の駒を取る(駒得)ことが出来て
一番おいしいパターンですね。
しかも▲2一歩成「桂」を取った後に、「香」を取ることも見込めるという
「一粒で二度おいしい」という奴です(笑)。

それでは、次の例題図を見て下さい。

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この問題もおいしいパターンです。

そう、▲2三歩ですね。

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これは打った「歩」が、取り返されるとは云え
「歩」が大駒の「角」になるという、大戦果となりました。
実戦では、中々お目に掛かれないので
この局面に遭遇したら、迷わず「歩」を打って下さいね(笑)。

さて、ここまで例題を2つ見てもらいましたが、何か気付いたことがありませんか?
ちょっと意地悪な質問ですが、これがわかれば将棋のセンスはかなりのものです。

ヒントは、「歩」で取った相手の駒です。

次回はこの意地悪な質問(笑)の解答を含めて、先に進みたいと思います。

それでは、次回をお楽しみに!!
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2008/10/12

手筋と格言について  ゼロからの将棋初級講座

序盤・中盤・終盤に分けることが出来る一局の将棋で
かなりの割合を占める中盤戦を、相手より優位に進めることが出来れば
勝利はググッと近づくことになります。
勿論、序盤で大差を付けて勝つこともあれば、終盤戦での大逆転で勝つこともあり
それも将棋の醍醐味とも云えます。
しかし、中盤戦を有利に進めれば、序盤戦のリードを更に広げることも出来ますし
終盤戦もギリギリではなく、余裕を持って迎えることが出来ます。
そうすれば、勝つ確率もグンと上がろうと云うもの。
この章では
その中盤戦を有利に戦う為のテクニック・・・「手筋」を勉強していきましょう。
また「手筋」に付随して、有利に進める為の方向性を示した「格言」
一緒に勉強していきましょう。

さて、「格言」というものは、70個前後あるようです。
前後としているのは、古くて通用しなくなったものもあれば
新しく生まれたものもあるからで、正直云えば何個と断言出来ないのです(苦笑)。
その70個ある「格言」のうち、この講座でも14個ほど登場しています。

・ 金は引く手に好手あり
・ 金底の歩、岩よりも固し
・ 銀は千鳥に使え                ・・・以上  第3話 参照
・ 桂馬の高飛び、歩の餌食
・ 下段の香に力あり
・ 一歩千金                    ・・・以上  第4話 参照
・ 二枚換えなら、歩ともせよ
・ 開戦は歩の突き捨てから           ・・・以上  第9話 参照
・ 香の田楽刺し                  ・・・以上 第16話 参照
・ 敵の打ちたいところに打て          ・・・以上 第21話 参照
・ 金はトドメに使え                ・・・以上 第42話 参照
・ 難しい詰みより簡単な必至         ・・・以上 第70話 参照
・ 玉飛、接近すべからず            ・・・以上 第85話 参照
・ 守りは金銀三枚、攻めは飛角銀桂香   ・・・以上 第86話 参照


これだけのものが登場していたのを、気が付いていましたか?
そしてザッと眺めてみると、あることに気が付きます。
そう。
ほとんどのものが、駒の使い方についてのものですね。
「手筋」= テクニックならば、「格言」= テクニックとも云えます。
「手筋」「格言」を並行して解説しようというのは、そういうことからなのです。
次回からは、駒別に「手筋」「格言」を解説していきましょう。
まずは「手筋」・「格言」とも一番多い、「歩」についてからです。

それでは、次回をお楽しみに!!
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