ちょうどサクライ先生が高校生だったころがピークでした。推薦で6割もの生徒がそのまま併設大学へと進学を果たしていました。ですからその頃の進路指導というのは、そのための指導を意味していました。「国語表現」という科目を8割近い生徒が選択して、小論文の練習をしていたのです。あれから20年近い歳月が経ち、本校の進路指導は実に多様なニーズに応えるべく、忙しいのが実情です。そして併設校推薦および指定校推薦の小論文対策は担任が責任を持つことになり、少しだけ国語の教員の負担は減りました。小論文演習という科目は設定していますが、この2年は成立していません。それでも小論文を必要としている生徒はいます。その生徒たちを対象とした講習を、夏期と秋期に組んでいます。その担当をこの5年ほど私が担っています。
かつては早稲田大学も、上智大学も小論文を課していました。少子化と受験人数の減少に対応せねばならないという意図なのでしょう、この2大学から小論文入試が消えました。関東圏の私立大学において、唯一小論文入試を実施しているのは慶應義塾大学だけになりました。そのためか前述の2大学に比べて受験人数は多くありません。それでも予備校が発表する偏差値ランキングを下げずにいるのは、総合的な力を持った入学生を獲得できているからかもしれません。そうなのです、小論文入試はテクニックではなく、総合的な学力が測れる試験なのです。そしてもっとも今の受験生が苦手とする分野でもあるのです。このあたりが難しいところです。
今日の午後、私にとっては恒例となった小論文の研究会に出かけてきました。小論文入試は他の科目試験よりももっと、その年のトレンドを映します。そのため今年度入試のトレンドと、次年度へ向けての情報収集は大切な私たちの使命です。ここでの情報を踏まえて、まずは夏の講習に向けて準備をします。ここ数年のキーワードは2つです。グローバル化の進む社会で深刻化する格差の問題、そして東日本大震災とそれに伴う原発事故の問題です。この2つとも、その因果を理解して、その上でどのような方向に向かうべきかを問われています。これって、実は教室では教えていないことばかりです。だからこそ真の思考力が問われるわけです。そうしたことをどのように伝えるのか、どのような準備をさせるのか、毎年の私の課題です。
みんなは来週からの試験に向けて勉強しているのですが、私たちはその間にもう少し先を見据えて勉強です。それはラグビーに関しても同様で、指導者研修を受けたり、安全対策講習があったりするのです。互いに学ぶことを忘れてはいけませんね。私たちも今日の自分を更新すべく努めますから、みんなも成長を止めずにいてくださいね。

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