実に39年ぶりに木枯らし一号が吹かずに、霜月が終わりそうです。今日が期限でした。ですが、今日も風も日差しも穏やかで、外でサッカーボールを追いかけている男女ともに汗が光ります。午後は3年生は選択体育の時間です。体を動かすのが大好きなメンバーが、様々な競技に挑戦している選択科目です。
2年生はいよいよ明日から期末考査に突入します。そして他学年は、今日試験のスケジュールが発表になりました。私の担当科目は、終盤になったため、試験問題作成は少しゆとりがありますが、その分採点期間は短めです。それでも試験後の授業は、講習のみで通常授業は止まるため、なんとかなりそうです。
さて今日はタイガです。中学組ですが、ラグビーは高校からになります。サッカー部からやってきました。サッカー経験者は、サッカーを長らく続けてきたメンバーのため、実はボールの扱いはあまり得意ではない傾向があります。同じフットボールですが、純粋に足しか使わないスポーツと、基本的にはキャッチ、パスの必要なスポーツとの決定的な違いに苦しみます。野球やバスケット経験者と比べてしまうと、どうしてもここに難ありが多いのです。スポーツの特性上、仕方ないことです。ですからタイガと一緒に移ってきながら、サッカーへ戻っていったメンバーもいます。自分がどちらが得意で、活かせるかを考えた上ですから、その選択もやむなしです。もしかするとタイガも、その際に迷ったのかもしれませんが、ともかく3年間やり遂げてくれました。
もしかするとこのチームの中でもっとも「ごめん」「すみません」を口にした選手かもしれません。しかもそれは小さな声ではなく、グランドに立つすべての仲間に聞こえるように、大きな声でした。それだけ自分がしてしまったミスの意味を自覚していたのでしょう。口にした数だけ、ミスをしたことになるのですが、そのことに誠実に向き合っていたのも、またタイガでした。彼という存在をもっともよく表すものかもしれません。
ウイングがボールを触る場面は、どうしても重要にならざるを得ません。攻撃であれば、フィニッシャーとなるはずですから、そこでボールを落としてしまうと言うことは、得点の好機を逸したことを意味します。その意味で責任重大です。しかもそこまでに多くの仲間の手を経て、届いたボールですから貴重なのです。それがそこで途絶えるのは、本人もっとも責任を感ずるのです。ですからつい大きな声で謝ることになります。
さらに防御においては、相手のパントを処理する役目があります。味方からのボールさえ、時に落としてしまうのですから、相手のキックはさらにミスの可能性が高くなります。しかもそうした不安が自身の心にあれば、ますますミスが生まれやすくなるわけです。どこかで自分は大丈夫、取れるのだと言い聞かせながら、「マイボール」の声をかけ続けるのです。その意味において、タイガのキャッチは、もしかすると本人以上に外から見ているものたちを緊張させていたかもしれませんね。それでも粘り強く、投げだすことなく、やり遂げてくれました。
そうした何事にも粘り強く、誠実に向き合う経験を経て、自身の進路も徐々に見えてきたのではないでしょうか。1年生の頃には、文理すらあやしくて、この先の見通しが立っていませんでした。そんな自分ともやはり粘り強く向き合い、保護者の背中を見ていたこともあり、方向がハッキリとしました。後はこれまで通り失敗を恐れずに、少しぐらいのキャッチミスにへこたれずに進んでいきましょう。まずは日曜日の試験からですね。

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