今日も穏やかな秋の陽気です。日差しのぬくもりが感じられます。行事が一段落して、ここからしばらくは落ち着いて、勉学に集中したいところです。
さて慌ただしさにかまけて、すっかりスタートが遅くなりましたが、今年も引退した3年生にコメントを始めさせていただきます。毎年、誰からにするのか(最後は決まっているものですから)それなりに悩むのですが、今年はマサミツからスタートすることにしました。
もっとも試合経験が少なく、いつ投げだしても不思議ではない状態の彼ですが、決して逃げ出すことなく、引退こそグランドに立つことはできませんでしたが、その前の試合では数分間という限られた時間ではあるものの、みんなと共有することできました。忍耐強さを身につけた3年間だったのではないでしょうか。
マサミツは、中学からの一貫生です。ですが、中学時代はサイエンス部で、それほど運動が得意なタイプではありません。私も中学は吹奏楽部ですから、高校から運動部に入る過酷さは経験しています。とにかく体のあちこちがギクシャクしていて、どうにも自分の体ではないような時期をくぐり抜けねばなりません。それをくぐり抜けて、なんとかラグビーらしい動きができるようになると、今度は幾つものケガに悩まされます。マサミツも何とかコンタクトプレイができるようになったところで、肩を痛めます。これが最後までマサミツを悩ませます。
ケガを繰り返していくと、徐々に痛みに慣れていきます。こういうものなのだと、自分に言い聞かせていくわけです。ただマサミツは、最後の最後まで痛いものは痛かったようで、冷や汗でもがく姿がありました。脱臼癖がついてしまい、ちょっとした弾みで外れてしまうのです。そのたびに冷や汗であえぐマサミツです。私たちの方が、その姿に慣れてきて、外れた肩の痛みでどうしても凝り固まって体をほぐすだけで、スッと入ってくれます。そのためにマサミツの肩は、笑わせると入ることなったのです。
最後の花園予選の2回戦、最後に登場したマサミツを、みんなが笑顔で迎えます。そして相手のキックオフボールを取った選手が、マサミツにボールを預けて当たります。そのワンプレイでした。そこでしっかり肩を外し、立ちあがってきた彼の肩が落ちているのが確認できました。ただここでは痛い顔は見せずに、最後の挨拶をして戻ってきました。結果的には彼の引退試合となりましたが、それを用意できてよかったなと感じています。
マサミツ自身は、自分の置かれた立場は理解していたように思えます。だからこそ投げたさず、逃げ出さずに最後まで続けました。私も、マサミツには継続すること、引退の日まで続けることを彼の目標としました。そのくらい彼にとってラグビーを続けることそのものが、過酷なことであることが想像できたからです。
それでも日焼けをして、一回り体も大きくなり、しまった顔つきのマサミツです。立ち姿もいつの間にか、猫背からも卒業していました。マサミツが進むこれからが楽しみです。あれ以上に忍耐が必要なものは、そうそうないでしょうからね。

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