たった一日であっという間に、真冬へと戻りました。北日本も大荒れのようで、灯台まで流されてしまうなんて…という状況で、ホワイトアウトの視界では自動車の運転もままならないですね。
そして年明けを待たずに、インフルエンザが流行期に入ったとか…クラブではまだ出ていませんが、学校でも聞くようになりました。注意が必要です。
さて今日はタイガについて、です。ここまでやりきったので言えることですが、正直に申し上げて彼がグランドで引退の日を迎えるとは思っていませんでした。だって、中学の頃から在籍していながら、何かにつけてクラブを逃げ出す口実を探していたのですから…その彼が高校に進学しても、入部届を提出したことが一つの驚きでしたが、どこまで続くのか、懐疑的だったのはそんな歴史があるからなのです。
ただタイガにもっとも感謝をする点も、ここにあるかもしれません。私は学年の先生や保護者にもよく口にするのですが、女の子はコツコツやれないと進学も難しいところがあるのだが、男の子はどこかでギアを入れ替えると、見違えるようになるのです。それをタイガは見事に体現してくれたわけです。私の思うところは私の印象ではなく、こうした現実によって実感となるわけです。これまでも何人ものそうしたメンバーたちを見てきましたが、タイガもその一人に名を連ねることになります。
彼のギアの入れ替わったことを実感する場面が二つあります。一つは本気で体を絞ったときです。それまでの体のままでは、とうてい一試合分の体力はつきません。体を絞ることで、体にかかる負担を軽減して、同時に総力とスタミナの双方を手にしたのです。ここでタイガ自身が、自分の努力の方向を見つけたのではないかと、私は考えています。スクラムの一列を組む上での最低限の体重と、筋力とを維持したままで、肉体改造を見事に成功させてからのタイガは、クラブへの取り組む意識が大きく変わったと感じています。痛いこと、つらいことをいとわなくなると、ラガーマンとしては本物に近づくのですが、その第一歩でした。
その痛いことを克服しきったのが、やはりこの夏合宿ですね。試合後に頭を抱えて、うずくまります。あまりの様子に救急車を呼ぶことになりました。私が同乗して、クリニックから上田の病院まで付き添いました。症状は徐々に落ち着きますが、それでもかなり痛がっていました。残念ですが、最後の合宿を途中棄権の状態になることを覚悟しました。保護者と入れ替わるように、合宿所に戻り翌朝改めて病院に行くと、退院して合宿に合流するというのです。痛みは消えていません。つらいはずです。以前の彼なら間違いなく帰宅を選んでいたはずです。このときに彼が本物になっていく確信を得たのです。男の子には間近いなくやる気スイッチがあり、それがいつなのかは分かりませんが、私たちはそれを信じんことを生業としている気がします。
復帰を急ぐため、医者には自己責任でいわれる時期にグランドに立ちます。そして引退までグランドにタイガの姿がありました。引退の日の彼を、私はまぶしく見たものです。男の子の大変身を、これからもまだまだ見たいという思いにさせてもらいました。タイガはこれからを、日本ではなく、世界のステージへと向かいます。彼のまだまだ輝く姿を信じて、彼へのコメントとします。

11