今年度は越年してしまい、誠に申し訳ありません。ですが決して忘れたわけでも、書くことがないわけでもないのです。ただこれがこれでなかなかエネルギーの必要なものであるため、なんとなく伸び伸びとなってしまいました。
今日、中学職員室に顔を出してくれました。公民の質問に来たのでしょうが、私にも声かけてくれました。明日がいきなり本命校への挑戦になるそうです。もちろんセンターの後に一つ別の私立を受験済みで、受験というものは理解したようです。受験会場の往復だけでエネルギーを奪われることを実感したと話していました。とにかく落ち着いて、受験会場で準備してきたことが十二分に発揮されることを願っています。
それはうちの受験のときも同じだったはずです。覚悟があったはずです。そしてうちで3年間、ラグビー部を牽引してくれました。経験者として入部して、プレッシャーもあったはずです。それでもぶれることなく、着実に成長を続けていました。ソウの魅力は、柔軟性でしょう。基本的にはバックスのポジションはどこでもこなせるだけの器用さがあり、その必要に応じて、プレイできるだけの柔軟性がありました。そしてこの3年間で驚くほど下半身がしっかりして、ランもパントも安定しました。個人スキルに関しては申し分ありません。ただここに経験者故の落とし穴があります。それは小さい頃からラグビーボールに触れているため、理論よりも感覚でラグビーをするのです。つまりラグビーは分かっているのですが、どうしてそのプレイを選択するのかという点に関しては脇の甘いところがあり、司令塔としてチームを引っ張るとなるとそれが仇になりました。どのようにラインを活かすべきかに苦しみました。そのため自分で強引に行くことが目立った時期もあります。不用意なパントでピンチを招いたこともありました。失敗を重ねながら、着実に成長をしていったのです。そこにソウの我慢が見えました。強気に見えるプレイの陰に、自信のなさも垣間見えながら、悩みに悩んでプレイを選択していきました。
うちの選手の誇れるところは、最後の最後まで成長し続けることです。それは高校時代にとどまらず、大学で続けるメンバーたちはますます進化します。苦しんだ司令塔も、最後の大会前にはこのチームの完成形が見えていたはずです。それが最後の松山戦でした。もちろんミスはありましたが、それでも見据えていた世界はハッキリしています。それで良いのです。結果が出てからの「たら・れば」は御法度ですが、それでもキックの精度がいつも通りであればもっともつれた展開だったかもしれません。夏にやられた相手を慌てさせるだけの成長を、わずかな期間で遂げることができたのです。チームの成長とソウの成長はシンクロしていました。それほどに司令塔の役割は大きいことを、改めて実感させてくれました。ラグビーにおいて、スタンドオフを司令塔と呼ぶことの意味を教えてくれた気がしています。
さらなる進化のために、今は次の切符を手に入れねばなりません。彼がターゲットにしている高みにたどり着くことを念願せずにはいられません。成績面でもソウの成長を信じることにします。