ここまで決して順風満帆ではありませんでした。体育祭があり、その反動で調整不足、体調不良を抱えて、今日の試合に臨みました。さらに今日は今日でバスが高速の事故渋滞にはまり、到着予定時間を大幅に遅れて、気持ちばかりが焦る条件がそろっていました。しかも相手は新人戦で完敗している相手で、こちらに有利な条件は何一つなかったのです。それでもうちの試合の前に、熊谷工業が地区2位で上がっていながら正智を下す大健闘です。これだけが唯一、今のうちを勇気づけるものでしたね。
それでも心配された試合の入りは相変わらずでした。決して崩されて、怖い場面ではなかったはずです。それなのに結果的にはライン際を崩されて、アッサリと先制トライを献上してしまいます。復帰したばかりのシブヤにゲーム勘が戻っていないことは明らかです。本人も痛感していることでしょう。センターとのコミュニケーションもいただけませんでした。二人で挟めていたはずの場面です。致命傷にならなかったのは結果論ですから、あの場面の対処をバックスリーは刷り込んでおきましょう。あのトライで分かったのです、個々では圧倒的に相手が上だということが。だからこそうちは組織を整えねばならないのです。それを象徴するトライでした。
正智戦では、この次にうちのペースになるまでに時間を要しました。結果、追いつかない展開となりました。その意味で次のキックオフから早い時間帯にトライを取り返し、そしてゴールを決めて逆転できたことは成長をうかがわせるものでした。相手がモールなら、うちはラックでリズムをつかんでいこうというトライでした。
その後、うちの防御網がまたも破綻して、相手の上手なオフロードパスで再び相手にリズムが行きかけたときにハプニングが起きました。相手選手が、一時意識が飛んでしまうほどの脳しんとうを起こしてしまったのです。すぐに救急車を呼ぶことになり、試合は15分近く中断となったのです。うちとしては、チームを整える時間をもらったことになります。再開後も互いに決定的な場面を作りながらも得点できずに、わずか2点差で折り返します。
ハーフタイムで何人もの選手に尋ねました、「楽しいか?」と。頼もしくなったと感じたのは、リンをはじめとして2年生たちが楽しいと応えられたことです。こうした緊張感のある試合を楽しめるようになったのは、成長の証です。おそらく自信もついてきているのでしょう。それでもタックルを外されているメンバーはそのことを自覚しているため、もう30分タックルだと送り出しても、それに徹する気でグランドへと向かっていきました。少し前の彼らならタックルをできることならせずに、ボールを持って攻めていたいとだけ考えていたはずです。今は違います。タックルから流れを変えて、自分たちの時間帯には思いっきり攻めるというラグビーの醍醐味を知ったのでしょう。タックルとサポートが自分の今なすべきことと覚悟を決めて2年生が何人もいます。今日の勝利は、そうした2年生に芽生えてきた責任感がもたらしたものだと考えています。それはグランドにいた2年生だけでなく、グランドの外から味方を鼓舞し続けたブルやソウ、タッチジャッジとしての役割を果たしたショウヘイにもいえることです。このチームのさらなる向上の鍵を握っているのは、こうした2年生たちですからね。
後半も一進一退でしたね。序盤はやはり相手にペースを握られて苦しかったですが、それを耐えて、よくワンチャンスをものにしました。ああなると攻めている私たちの方がよほど足が動きます。相手のリアクションが悪くなっているのは明らかでした。もう一つ取っておきたかった、取れていたはずだという欲はありますが、そこを今日の課題としておきましょう。
ラグビーはミスの多いスポーツです。だからミスを恐れる必要はありません。ですが、ミスは自分でカバーしないと、責任感が問われます。今日の試合でもっとも考えてほしい点です。ミスをどのようにカバーしようと考えたのか、そもそもミスを恐れずにプレイができていたのか、個はもちろん、チームとして冷静に振り返っておきましょう。
何はともあれ、それでも先輩たちが越えられなかった壁を越えました。試合前に新しい扉を開けておいでと送り出した言葉を実践しました。本当に立派です。試合後に何人もの3年生からお礼を言われましたが、お礼を言うのは私の方です。こんなに立派に戦うチームの一員でいさせてくれることに感謝しています。このチームの粘り強さが、底力です。これを持って、次戦もしっかり戦いましょう。結果はその後でいいですものね。
おつかれさま。そして本当に、本当にありがとう。

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